2023年06月24日
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俳優、ダンサーの田中泯(78)の「映画、テレビドラマを作る側が国民を馬鹿にしている」という発言が波紋を呼んでいる。

発言は6月13日、都内で映画「PERFECT DAYS」に主演し、カンヌ映画祭で男優賞を受賞した役所広司(67)とともに、共演した田中が開いた会見の終盤で出たもの。田中は「一番、感じ続けているのは、一般というか国民というか、多くの人たちを、作る側はちょっとばかにしているんじゃないかって思う」と切り出し、こう続けた。

「映画に初めて出てから20年と少し、テレビドラマとかNHKの朝ドラとか出てるんですけど、日本人であるだけで、文化をすごく享受していると、すごく思う。ですから、映画にしてもテレビドラマにしても、見る人を、もっと、もっと引き上げるべく作る必要があるんじゃないか。現在に合わせて作るものばっかりになんですよね」

その例として、自身がNHK朝ドラに出演したときに現場で感じた思いを打ち明けた。

「一生懸命、笑わせようとする。『どうして、こんなに笑わせなきゃいけないんですか?』って聞いたら『国民が、そうだから』って…冗談じゃないでしょ? と思いました。

(視聴者を)泣かしたって怒らせたっていいわけなんです。反応がある方がおもしろいじゃないですか? そこに、とどまっている…。視聴率の%話ですか、金の話ですか、NHKが? と聞きたくなる」

現在では数々のドラマや映画で俳優として活躍する田中だが、俳優業は57歳から。それまでは世界的に活躍する舞踏家として知られていた。初出演した映画『たそがれ清兵衛』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞、新人俳優賞を受賞した。

「15年に放送された土屋太鳳主演の朝ドラ『まれ』では製塩職人である桶作元治を演じ、陽に灼けて鍛え抜かれた身体で黙々と汐を汲んで塩田にまき続ける姿が視聴者に注目されました。この作品ではコミカルなシーンも演じて、それまでのイメージを大きく裏切ったことから”新境地だ”と評する人もいました。当時はNHKのコント番組『LIFE~人生に捧げるコント』にも出演し、本人も驚いていました」(ドラマライター)

(中略)

また、ネットで多く指摘されていたのは24話の「文さんクイズ」のシーンだ。

これは、東京から帰って来たいという元治の息子・哲也(池内博之)夫婦と津村一家が元治・文との同居を賭けて対決シーン。どちらが文のことを知っているかというクイズに多く正解したほうが勝ちという勝負だった。

「出題者の文は「本日の主役」というタスキを、元治はなぜか大きな蝶ネクタイ姿だったことが、『ふざけすぎだ』とネットでツッコまれていました。

実はクイズで戦ううちに全員に一体感が生まれてきて、これだけ全員文さんのことを知っているのだから、血がつながっていようがいまいが関係ない、という感動的なオチだったのですが、元治の”コスプレ”の印象が強すぎて話が入って来ない人もいたようです」(同前)

今回の田中の発言について、ある制作会社関係者は制作側の事情を語る。

「決して極端な演出ではありませんが、とにかく観ている人の感情をいたずらに揺さぶろうという演出に走ってしまうのは、60秒単位で結果が出る視聴率を意識せざるをえないことからくる悪い傾向です。

またSNSでも良くも悪くもそういった演出のほうが反響が多い。今回の発言はNHKまでそういう流れに影響されていることに対する田中さんの警鐘でしょう」

実は感情を揺さぶるだけの演出に食いついてしまう視聴者のほうが、馬鹿にされないように試されているのかも知れない。

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