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■渡辺美里はロックなのかアイドルなのか

 しかし、話をややこしくするようだが、ここで、EPICソニーの代表選手の1人を「ロックじゃない」と息巻く少年に登場してもらう。少年の名は「ラジヲくん」。何を隠そう、私が著した『恋するラジオ〜Turn on the radio』(ブックマン社)という「音楽私小説」の主人公だ。第3章「早稲田のレベッカ(1986kHz)」より。

 しかしラジヲは当初、レベッカや渡辺美里を認めていなかった。いや、実際は「認めてはいけない」と思っていた。「あれはロックじゃないから」。「ロックか、ロックじゃないか」──今となっては笑い話となるが、当時の音楽少年にとっての評価軸として、それはとても切実なものだった。一種の踏み絵のように。そして、ラジヲなりの評価算定結果として、レベッカや渡辺美里は「ロックじゃない」と結論付けられたのだ。なぜならば、音楽は「ロック」っぽいけれど、顔がアイドルみたいに可愛いじゃないか。可愛い女の子は「ロック」じゃないんだよ。

 白状すれば、これはそのまま、80年代中盤における私の見立てである。ただ、その根拠は脆弱(ぜいじゃく)なもので、当時の渋谷陽一的/ロッキング・オン的価値観の中に、レベッカや渡辺美里が入っていなかった(ように見えた)ことや、もっと表面的に、NOKKOや渡辺美里のルックスが可愛かったことも「ロック的」ではないという判断要素になったのだ。

 もっと分かりやすく言えば「渡辺美里はミス・セブンティーンのコンテストに出たんだから、アイドルであってロックじゃない」という見方・考え方。

 「椎名林檎はホリプロタレントスカウトキャラバンに出たんだから、アイドルであってロックじゃない」
★抜粋
https://news.yahoo.co.jp/articles/eefa09193560df8304f0cc32cd724ecc41afeb76
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