1つクイズを出しましょう。
 
1990年代から今日へと至る、連ドラの四半世紀の歴史の中で、最も変化したのは次の4つの中でどれでしょう?

(1)脚本のクオリティ
(2)演出の技術
(3)役者の演技力
(4)芸能プロダクションの発言力

「(1)脚本のクォリティ」は正直、少し劣化した。
「(2)演出の技術」はかなり進化した。1990年代の連ドラと現在の連ドラとを見比べて、その進歩は目を見張るものがある。ただ、この中で一番ではない。
「(3)役者の演技力」もかなり進化。これは木村拓哉の功績が大きいが、彼の登場でナチュラルな芝居が一般化した。アイドルたちの表現力も格段に向上した。だが、これも一番じゃない。

答えは「(4)芸能プロダクションの発言力」である。この四半世紀に及ぶ連ドラを取り巻く最大の変化と言えば、芸能プロダクションの発言力が格段に増したことに尽きる。これは(2)や(3)の変化の比ではない。

そう、芸能プロダクションの発言力。

一般に、連ドラがヒットすると、真っ先に評価されるのは、脚本家と主演俳優である。

しかし、プロデューサーとの人間関係もあって “流通” しにくい脚本家に比べて、連ドラの初回視聴率にダイレクトに数字が表れる人気俳優は、各局から引く手あまたになる。

そうなると、人気俳優の所属事務所は圧倒的な売り手市場を背景に、強気な商売に出る。一番多いのが、その人気俳優を出す代わりに、自分のところの新人をセットで出してほしいという要望――いわゆる「バーター」である。

テレビ局の側としても、数字の取れる役者は喉から手が出るほど欲しい。自然、その手の要求をのまざるを得なくなる。

だが、最初のうちはほんのご愛敬レベルで済んでいたその手の話が、繰り返されるうちに次第に利権化して、気がつけば、当のプロデューサーですら、自分の作るドラマのキャスティングに口が挟めない状況に陥ってしまった。

要は、局の上層部と芸能プロダクションとの「政治案件」になったのだ。その種の状況が各局とも顕著になり始めたのが、1990年代の終わり頃だった。

そうなると、ドラマのクオリティが下がるのは目に見えている。出演者はやたらめったら増えて、新たに増えた役者をドラマに登場させるために、脚本を書き直すという本末転倒の事態に。近年の脚本のレベル低下を招いたのは、そういうことである。

ラブストーリーを例に挙げる。

つづく

10/5(木) 6:00配信 FLASH
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