増える”自主返納”実態は?

返納しても問題解決ではない!
自分の個人情報が誰か他人のものとひも付いていたらと、不安になるのは当然だろう。ただ、マイナンバーカードを返納したからといって、問題が解決するわけではない。

それはなぜか?

カードを返納しても、カードそのものに個人情報が記録されているわけではないため、マイナンバー制度のもとで個人情報はそのまま残るからだ。健康保険証の情報もひも付いた形で管理されることになる。

さらに詳しく説明しよう。

「マイナンバー制度」では、国民1人1人に12桁の番号の「マイナンバー」が割りふられている。

一方、「マイナンバーカード」は、顔写真が掲載されたICカードで、12桁のマイナンバーと氏名・住所・生年月日・性別の「基本4情報」が記載されている。

カードのICチップには、マイナンバーと顔写真のデータ、それに基本4情報のデータ、電子証明書などが記録されている。

一方で、それ以外の「年金や医療、税といった個人情報」は記録されていない。このため、さまざまな行政手続きを行う際は、年金や医療、税などそれぞれの機関が管理する個人情報とひも付けを行うことで一体的に運用が行われる仕組みだ。このひも付けは、マイナンバーと行われることから、仮にマイナンバーカードを返納したとしても、ひも付けられた状態は残ることになる。

また、政府は、来年秋に今の健康保険証を廃止しマイナンバーカードと一体化する方針だ。マイナンバーと「健康保険証の情報」のひも付けは、年金や税などの個人情報と同様に
カードそのものには健康保険証の情報は記録されていない。いまの健康保険証が廃止された後も、健康保険証の情報はひも付けの形で管理されることになる。

返納で使えなくなるサービスも
返納すると、カードでできていた行政サービスの利用ができなくなることがある。
専用サイトの「マイナポータル」で行えた、▽引っ越しの際の転出届の提出、▽パスポートの取得や更新の手続きなどのほか、▽年金記録の確認や、▽住民税や所得に関する情報などの閲覧ができなくなる。さらに、コンビニなどで住民票の写しなどの証明書の交付が受けられるサービスも使えなくなる。

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/100887.html