テレワークに逆風、実施率がほぼ半減した「2つの要因」とは

 新型コロナウイルスの感染症法における位置付けが変わり、2023年5月8日には感染者への待機要請がなくなった。人々の外出が急回復する中、ビジネスパーソンの働き方にはどんな変化が起こっているのか。2020年4月から半年おきに実施してきた調査の最新結果を見ると、テレワークをメインに働く人の割合がピーク時の半分近くまで下がる現状が浮かび上がった。

 日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは「働き方改革に関する動向・意識調査」を2020年春から定期的に実施しており、2023年4月に最新となる7回目の調査をした。「あなたはテレワークを利用して職場(派遣・常駐先を含む)以外でどの程度働きましたか」と尋ねたところ、「週3日以上」と答えた人は32.6%だった。調査開始以来、最低の割合を更新した。

週3日以上、つまりテレワークをメインに働く人の割合は、新型コロナウイルス感染症のまん延防止等重点措置が2022年3月下旬に解除されて以降、右肩下がりだ。新型コロナの流行が始まった2020年3〜4月の63.9%と比べると、ほぼ半減した。

 週3日以上テレワークする人の割合を年代別に分析すると、39歳以下では33.3%、40代は35.5%、50代だと27.9%、60歳以上では37.3%。50代が最低となった。

出社を求められる人が急増、「対話に支障」も過去最高
 テレワークの利用率が低下した理由について探ってみる。実施頻度が2022年秋頃よりも「減った」「やや減った」と答えた人に複数回答可の形で理由を聞いたところ、「勤務先(または派遣・常駐先)から出社を求められる/指示されることが増えたから」を選んだ人が49.0%とダントツだった。

 自由意見にも「部署として特殊な事情がある場合を除き(会社が)テレワークをやめたため」(50代、東京都、建設業、課長クラス)といった声が目立った。

 「2022年5月から会社方針が『基本出社』に変更されました。テレワーク実施は国に言われて仕方なく行っていただけで、実は会社上層部は出社させたい人たちの集団だったのだと、かなりガッカリしました」(60代、東京都、製造業、係長・主任クラス)との嘆きもあった。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02477/053000001/