中学3年だった和田樹生(みきお)君(当時15歳)が乗用車にはねられて死亡した事故で、道路交通法違反(ひき逃げ、事故不申告)の罪に問われた同県御代田町、会社員の被告の男(49)の初公判が15日、長野地裁(大野洋裁判官)であった。被告は「救護も警察への申告もした」として起訴事実を否認し、無罪を主張した。

 起訴状によると、被告は同年3月23日午後10時7分頃、同市佐久平駅北の交差点で、横断歩道を歩いて渡っていた樹生君を車ではね飛ばしたにもかかわらず、直ちに救護など必要な措置をとらなかったほか、事故発生の日時や場所などを警察に報告しなかったとされる。

 検察側の冒頭陳述によると、被告は友人らと酒を飲んで事故を起こした直後、現場から95・5メートル先に車を止めた。事故現場に向かい、午後10時8分から11分頃まで横断歩道付近を捜した。その後、近くのコンビニに入店し、飲酒運転の発覚を免れるため、口臭防止用の商品を購入して口に含んだ。ズボンのポケットには携帯電話があったが、自ら警察や消防には通報しなかった。


 また、証拠調べで検察側は、倒れていた樹生君を発見して14分に110番した男性の証言調書を読み上げ、被告が駆け寄ってきた時間について、「110番から1、2分たっていたはず」とした。


 一方、弁護側は「車両の運転は停止し、一時的にコンビニに行ったが、速やかに現場に戻ったので救護義務違反(ひき逃げ)は成立しない」と主張。

事故不申告についても「臨場した警察官に事故を伝えており、道交法の構成要件に該当しない」と無罪を訴えた。また、3度目の裁判となることについては、「公訴権の乱用で、公訴棄却が相当だ」などと求めた。

 道交法では交通事故を起こした場合、直ちに運転を停止して負傷者を救護し、最寄りの警察署などに報告しなければならないとしており、公判では被告の事故後の行動がひき逃げにあたるかが争点になる。
https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/7039d625d305b66bf572370c446813638ae71946&preview=auto