9月1日は「防災の日」。1923(大正12)年9月1日に関東大震災が起きてから、まもなく100年になろうとしている。
また、近年は9月に大型台風が上陸したり、長雨が続いたりして、各地で風水害も発生している。9月は防災、自然災害、
気候変動、地球温暖化をテーマにした本を随時、紹介していこう。

2020年、世界を襲ったコロナ・ショック。感染症の脅威を描いた高嶋哲夫さんの小説「首都感染」(2014年、講談社文庫)は、
まさに現実のものとなった。「首都崩壊」(幻冬舎文庫)など、日本のさまざまな危機を描き続けてきたクライシス小説の第一人者が、
コロナによって浮かび上がった日本の「弱点」、そして近い将来必ずやって来る東京直下型地震、南海トラフ地震のリスクを指摘したのが、
本書「『首都感染』後の日本」である。

東京一極集中の弊害と、新たな時代にマッチした国家の在り方を提言している。

これまでの政府機関の地方移転をめぐる経緯をまとめると、以下のようになる。

1950年代 学会などを中心に首都機能移転を求める提案が出始める  88年 東京23区内にある約70の政府機関の移転を閣議決定  
90年 衆参両院が国会などの移転を決議  92年 国会等移転法が成立  99年 政府審議会が「栃木・福島」、「岐阜・愛知」、
「三重・畿央」の3地域を候補地として答申 2003年 衆参両院の特別委員会が候補地絞り込みを断念  
06年 首都機能移転担当相のポストが道州制担当相に変更

これを見ると、80年代に社会問題になっていた東京を中心とする地価高騰の鎮静化も期待できるとして遷都論が浮上したが、
候補地の絞り込みすらできず、世論も盛り上がらなかった。また、バブル崩壊による財政問題も深刻化し、国会の移転は事実上、
立ち消えになった。

高嶋さんは「首都崩壊」で、岡山県の吉備高原を新首都の候補にしていた。

・自然災害が少ない・位置的に日本の中ほどにあり、交通の便がよい・十分な土地がある

などを理由に挙げていた。

https://article.yahoo.co.jp/detail/5ffc139017671cd67fcb2673c9f3de3ce94c56b5