コロナでJRは3カ月で赤字1553億…鉄道各社の今後の稼ぎ方

(中略)

良くも悪くも日本の通勤風景を形作ってきた通勤定期であるが、新型コロナウイルスの感染対策としてテレワークが急速に普及していることを受け、通勤手当を廃止する動きが広がっている。

たとえば大手電機メーカーの富士通は7月6日、新型コロナウイルスの感染拡大によって生じた「ニューノーマル(新常態)」において、デジタルトランスフォーメーション企業への変革をさらに加速させるため、「Work Life Shift」というコンセプトで働き方改革を推進すると発表した。
同社は2017年4月からテレワーク勤務制度を正式導入しているが、今後はこれをさらに加速。オフィスの規模を3年後をめどに半減させるなど、テレワークを基本とした勤務体系に移行していく方針だという。

そうなると必然的に毎日の出社を前提とする定期券は不要になることから通勤手当を廃止。代わりに月5000円の「スマートワーキング手当」を支給するという。出社や顧客の訪問など交通機関の利用が必要な場合は、国内出張扱いでその都度、実費を精算する形になるそうだ。

(中略)

通勤手当の廃止により、打撃を被るのが鉄道会社だ。従来、首都圏の鉄道の輸送人員に占める定期券利用者の割合は6割弱。つまり、乗客の半数以上を通勤利用者が占めていた。ところが新型コロナウイルスの感染拡大以降、テレワークを導入、拡大する企業が相次ぎ、日本人の働き方は大きく変わりつつある。実際、首都圏のJR、大手私鉄の主なターミナル駅における朝のピーク時間帯の利用状況は、新型コロナウイルスの感染拡大以前と比較して約3割減少している。

混雑の緩和は利用者にとっては朗報だが、鉄道会社にとっては減収に直結する。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、鉄道各社の4月から6月の第1四半期決算は悲惨な数字が相次いだ。

JR東日本の鉄道営業収入は、4月は76%減、5月は71%減、6月は46%の減少となり、4月から6月の第1四半期連結決算はJR発足以来初となる1553億円の赤字を計上。大手私鉄も軒並み約100億から約300億の赤字となった。

もっとも、減収の大きな要因は定期利用者の減少ではなく定期外利用者の減少だ。JR東日本の第1四半期の利用者数は、定期券で30.7%減、定期外で79.3%の減少で、特急や新幹線など長距離利用者の減少が響いている。
だが、定期外利用者は(出張などビジネス需要の今後は不透明であるものの)感染の収束とともに一定の回復が見込まれるのに対し、通勤利用者の減少は一時的なものではなく、今後も続くと見られている。

こうした状況を受け、JR東日本の深沢祐二社長は7月7日の定例会見で「コロナ終息後も利用は元に戻らない」と述べた上で、長期的に経営が成り立つ形で運行ダイヤやコスト構造、運賃制度の見直しに着手していることを明かした。


(全文はWebで)
https://news.yahoo.co.jp/articles/145bb675ea60ee9c6ebcd33cfd966b8eeb3fa7ca