景気判断「悪化」を維持、回復見えず 政府月例経済報告


 政府は28日に公表した5月の月例経済報告で、国内の景気について「急速な悪化が続いており、極めて厳しい状況にある」との認識を示した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、約11年ぶりに「悪化」の文言を使った先月の景気判断を維持した。緊急事態宣言の解除後も活動への制約が残ることから、先行きについても「当面、極めて厳しい状況が続くと見込まれる」とした。

 月例経済報告は景気に対する政府の公式見解。コロナショックの影響が本格化した4月には判断を大幅に引き下げ、「急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」としたが、今月はその状況が続いていると指摘した。旅行や外食をはじめ、幅広い分野で個人消費の急減に歯止めがかかっていない状況を踏まえた。
 個別項目では、輸出の判断を2カ月連続で引き下げ、「急速に減少している」とした。欧米向け自動車の落ち込みに加え、統計上、輸出に計上される訪日客消費がほぼゼロになったためだ。今年初めまで堅調を保ってきた雇用も、求人数の落ち込みや休業者数の増加を背景に「弱さが増している」とし、3カ月連続で引き下げた。

 一方、輸入は「このところ下げ止まりつつある」とし、2年5カ月ぶりに引き上げた。ただ、「内需の強さではなく、中国の工場再開が大きい」(内閣府)という。


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