最高裁によると、裁判員裁判対象事件のうち一審判決を高裁が破棄した割合は13年まで5〜7%台で推移していたが、
18年には11・9%と倍増。現状について元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏(63)は「裁判官の中で制度の
意義が薄れているのではないか」と語る。「裁判員が下した決断が、高裁であっさり覆されるのは、制度そのものを
否定している。裁判所の自殺行為だ」と批判した。

 判決破棄の主な理由は過去の判例との乖離(かいり)。今年は量刑の判断基準とされる「永山基準」が重視された。
最高裁が83年に示した死刑適用の基準で、1人なら死刑が回避され、2人だと無期懲役、3人だと死刑が求刑される
傾向にある。若狭氏は「裁判官のためにつくられた基準に拘束されるなら制度の意味がない。制度を生かすためには、
市民感覚が反映される新たな基準を構築するべきだ」との考えを示した。
 (特別取材班)
https://www.sponichi.co.jp/society/news/2019/12/23/kiji/20191222s00042000468000c.html