去る17日、MLBが来季から球団傘下のマイナーリーガーたちへの住宅手当の提供を義務付けると「ESPN」(電子版)が伝えた。過酷な生活を送る選手には朗報だという。

 マイナー選手の週給は今季から増額された。それでも年間の最低賃金は1Aで1万2000ドル(約132万円)、2Aで1万4400ドル(約158万円)、3Aでも1万6800ドル(約185万円)。そこへいくと日本のプロ野球の育成選手の最低年俸は240万円。移動は球団のバスが用意され、寮費も食費込みの月数万円程度で済む。

 スポーツライターの友成那智氏はこう言う。

「私がフォートマイヤーズで1A選手の自宅に行った際は、選手5〜6人で生活していた。その中には選手の恋人も。シェアハウスならまだいい。遠征中はホテル代を払えず、球場のロッカールームで雑魚寝したり、車中泊する選手も珍しくない。遠征中に支給されるミールマネー(食費)が貴重な収入で、マイナーは1日約25ドル。それ以外でもらえるのはシーズン中の給与だけ。日本でいえば独立リーガーでしょうか。つまり、オフは給料が出ない。日本ほどインフラがしっかり担保されている環境は他にありませんよ」

 メジャーの最低年俸は右肩上がり。今季は57万500ドル(約6500万円)。今季はコロナの影響で減額となったが、2011年の最低年俸は41万4000ドル(約4720万円)で、10年間で2000万円近く増額した。マイナーとの格差は開く一方だ。

「昔はここまでメジャーとマイナーに格差はなかった。ここ10年間でその格差は急拡大した。日本の一軍、二軍と違い、メジャーとマイナーの経営が切り離されていることが根本原因。マイナー球団をここ3年で半分ほどに減らしたことで、住宅手当に費用を回せたのだろうが、悪化していた待遇が少しマシになった程度。改善というには程遠い」(友成氏)

 もっとも、こういった劣悪な環境をバネに、メジャーのトップクラスに成長する選手もいる。格差は金の卵を生む“原動力”でもあるのだが。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e99b39c94f518bb713d95b65012315056fca8c9b