奥田民生「最初からオリジナルな人はうまみもない」 そう語る理由とは
2021年08月19日 18:00 J-WAVE NEWS
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ユニコーンの奥田民生が、ニューアルバム『ツイス島&シャウ島』や、音楽の“パクり”表現について語った。

奥田が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。オンエアは8月6日(金)。


■昔と今の音楽シーンの違い
音楽談義に花を咲かせるふたりは、アメリカのヒットチャートの話題に。「最近、アメリカで人気の曲だからといって日本でも売れるわけではなくなった」と奥田が言うと、クリスも同調した。

クリス:もう別ですよね。日本で売れる曲もあるけど、アメリカのビルボードでトップ10だから日本でヒットするかというと全然そんなことはなくて。

奥田:日本は全然無視してるじゃんって思ったり。だいぶ前だけどニューヨークに行ったとき、ずっとラジオで流れていた曲とか、日本に帰ってきたら一切聴かなかったりしていて、面白いなと思いましたね。

クリス:アンダーワールドのツアーマネージャーかなんかの人が、昔はイギリスとアメリカの音楽は世界のどこに行ったってみんな聴いてたし、たとえばフェスなんかに行くと、昔は必ずアメリカかイギリスのビッグバンドがヘッドライナーだったけど、今は日本だろうがヨーロッパだろうが、ヘッドライナーは地元のバンドだ、みたいな。

奥田:盛り上がればいいんだろうけど、音楽も世の中にたくさんあるから昔のやつをどれだけでも掘り下げられるし。

奥田は「俺としては、昔みたいにアメリカはすごいところであってほしい」「アメリカでめっちゃ流行っているやつを日本でパクってみんなそれになっちゃって、みたいな世界ってけっこう好きだった」と思いを述べる。

奥田:向こうでこれが流行っているって言って、日本で流行りだしてみんなそれをちょっとずつ変えていくみたいなのって俺が小学生、中学生の頃って正直めちゃくちゃあったじゃないですか。ああいうのって僕的にはすごく好きで。だから今でも許してもらえるならパクって生きていきたいですもん(笑)。そういう文化って絶対あるんですよ。

クリス:やっぱりバトンだから。

奥田:ザ・ビートルズも最初はそればっかりやってたんですから。

クリス:今はアメリカでパクり訴訟がすごく多いけれども、基本的に陪審員は音楽の素人ですからね。

奥田:今の言い方で昔の音楽を語ったら、ロックンロールはやっちゃダメだってなりますよね。

クリス:そうそう。そこのあたりも問題になっていて、音楽の歴史がわかる人たちから言わせると、パクってパクられ変異していくものが音楽で、特にポップスはそうだって。

奥田:パクるって言葉がいけないんだよな。僕は好んで使うけど。

クリス:日本では匠の技を盗めって言葉もありますからね。

奥田:カッコよく言うと、教えはしないけど勝手に盗めっていうやつじゃないですか。それをやってるのに「パクった」って言われるから、言い方がいけないのかな(笑)。伝承を勝手にしました、みたいな。


奥田は「僕が好きなアーティストは、結果そういうことが上手な人」と語り、独自の“パクり”論を展開する。


奥田:いろいろなものを取り入れつつ、オリジナルを出す。最初からオリジナルな人はうまみもないんですよね。

クリス:ないですよね。導かれないかもしれない。

奥田:俺がミュージシャンとしてこれから何年か生きていかなきゃいけないので、こういう発言をしないとやりづらい。なんて言ったらいいんですかね。

クリス:オマージュというかリスペクトというか。

奥田:パクり方を見てねっていうことなんですよ。

クリス:バレないように姑息にやるんじゃなくて、俺はこれが大好きだ、最高じゃんって。

奥田:だって本当はバレたいんですもん。だけど、うまく違うところに戻ったね、とかそういう技術を俺は評価してほしいんですよ。基本的にはパクっているんですよ。