8/13(金) 11:04配信 デイリー新潮
https://news.yahoo.co.jp/articles/b8fd41993387f2ff64ef7c8a91be25523a60d1f4
 歌ネタのブームが続いている。どぶろっくら歌ネタ芸人たちの活躍は知られている通り。このジャンルを開拓したパイオニアは誰かといえば、嘉門タツオ(62)にほかならない。今も第一線に立ち続ける嘉門が懐かしい爆笑歌ネタにまつわる秘話を明かした。

 嘉門が1984年に発表した「ゆけ! ゆけ! 川口浩!!」は歌ネタの金字塔だ。CD化されるとオリコンの週間チャートで最高24位を記録した。

 なぜ、つくったのだろう。

「当時、『川口浩探検隊シリーズ』がザワザワしていたからですよ。『ちょっと怪しいんちゃうか』みたいに言われていた」(嘉門、以下カギ括弧は全て同)

「川口浩探検隊シリーズ」はテレビ朝日の90分特番枠「水曜スペシャル」の人気シリーズ。1978年に始まった。

 俳優の故・川口浩さんが和製インディ・ジョーンズよろしく世界中の秘境を探検するのだが、視聴者から「なんかおかしい」といった声が上がり始めていた。

 探検隊が地下トンネル内で迷いに迷った末、やっと地上に出て来たら、カメラが待ち構えていたり、密林の中でヘビがタイミング良く尻尾から落ちてきたり。

 それを初めて指摘したのが嘉門。親しい放送作家と2人でこんな詞を考え、アップテンポの軽快な曲を付けた。

♪川口浩が洞くつに入る カメラマンと照明さんの後に入る……未開のジャングルを進む 道には何故かタイヤの跡がある……大発見をしてジャングルを後にする 来る時あれだけいたヘビやサソリ毒グモ いやしない 底なし沼さえ消えている――

「動かないサソリが襲ってくる」という下りもあった。「大発見をしながら決して学界に発表をしない故川口さんの奥ゆかしさ」という下りも。完全に番組を茶化していた。

 川口さんはどう思っていたのか。実はこの歌ネタを発表する前、嘉門は大阪に来た川口さんと会い、許可をもらっていた。初対面だった。

 川口さんは紳士として知られた人なので、嘉門のユーモアを理解してくれた。

「ただし、川口さんからは1箇所だけ歌詞の内容が事実と違うと言われました。ピラニアに噛まれた川口さんの手は誰の手なんだろうという下りがあったんですが、『あれは僕の手ですよ』と言われましたので、そうしました」

 探検隊シリーズの人気は嘉門の歌ネタのヒットの後も衰えなかった。視聴者は番組の怪しさも併せて楽しむようになった。だが、川口さんの咽頭ガンなどの悪化により、1986年に惜しまれつつ幕を閉じた。
(以下ソースで)