森保方式ではカタールW杯ベスト8は無理。五輪サッカーを経て確信した決定的理由
2021/8/8(日) 22:20 杉山茂樹(スポーツライター)

 サッカー監督の采配は、結果に占める割合が他の競技と比較にならないほど高い。勝因、敗因、それぞれに直接的に関与する。五輪でベスト4に終わった森保采配について、いまは是非を語るタイミングだ。
それがサッカー報道のあるべき姿になるが、実際には、いまだ東京五輪というお祭りムードの中に埋没した状態にある。サッカーならではの特殊性が、発揮されている状態にはない。

 久保建英など、訴求力の高そうな選手については、些細なニュースまで報じようとするが、肝心な森保一監督の采配や、続投是非論については、表だって論じられていない。

 確か、2019年末、E1選手権(韓国・釜山)の現場だったと記憶する。森保一監督が、東京五輪の目標として「金メダル」を掲げたのは。聞かれたわけではないのに、自ら口にしたという感じだった。

「ベスト4」とか、「何色でもいいからメダル」を、ではない。「金メダル」だ。どうしちゃったのか、この監督は。その大言壮語の根拠はどこにあるのか、不思議な気持ちに襲われたものだ。

 長期的な目標、たとえば、パリ五輪でそうありたいと願うなら分からないではない。だが、2019年末は、東京五輪の1年延期がまだ決まっていない段だった。本番は7ヶ月先に迫っていた。実際は1年7ヶ月後になったのだが、その間、秘策でもあるのかと、気をつけて観察した。

 3位決定戦でメキシコに敗れ4位。東京五輪は、コロナ禍という特殊事情を加味すれば「完全ホーム」の戦いだった。追い風が吹きまくる中で、4位という順当な成績に終わることになった監督が、なぜ当初、金メダル! と叫んだのか。
どのような手段でスペイン、ブラジルに対抗しようと考えたのか。自信の根拠は最後まで伝わってこなかった。金メダルのレベル、世界の状況がよく見えていない人にありがちな放言と言われても仕方がない。

 大会前、五輪に臨むU-24日本代表チームで最も注目していたのは、他ならぬ、森保監督だった。今回の五輪でグループリーグ敗退など、よほど悪い結果に終わらない限り、解任されることはない。
来年に迫った2022年カタールW杯まで、森保監督が日本代表監督の座に就くことは、決まっているも同然だ。それで、W杯ベスト8は望めるのか。その可能性はどれほどなのか。

 サッカーは、くり返すが、監督采配が結果に大きな影響を与える競技である。東京五輪で見せた森保采配から、カタールW杯本大会を占うことは十分に可能なのだ。

 準決勝のスペイン戦。延長戦の末0-1で敗れたこの一戦は、W杯本大会に置き換えれば、決勝トーナメント1回戦に相当する、まさに日本が越えたい山に見えた。

 想起したのは前回2018年ロシアW杯のベルギー戦だ。グループリーグを突破した次の試合。組み合わせにもよるが、右肩上がりを示している日本選手の技量に基づけば、2022年カタールW杯では、このあたりまで勝ち進んでも不思議はないラインである。

 問題はその先。ベスト16の壁を越えるためには、さすがに優秀な監督の力が不可欠になる。基本的な戦術に加え、選手を使い回す能力。選手の出場時間を管理する力。目標値から逆算して選手起用を考える力を備えた監督が力を発揮しないと、ベスト8入りは望みにくい。

 西野前監督には、その術が欠けていた。4試合目(決勝トーナメント1回戦)で力尽きることが、3試合目、いや2試合目の先発メンバーを見た瞬間、予想された。かつての岡田ジャパン(2010年南アW杯)、ザックジャパン(2014年ブラジルW杯)あたりまでは、この西野的な思考法で十分だった。
グループリーグを突破できれば大満足。先のことなど考える余裕がない、一戦必勝の姿勢で、目の前の敵に向き合うしかない時代だった。

 そこに別れを告げ、ワンランク昇格を実感したのが、前回ロシアW杯になる。ベルギー戦の内容からも明らかなように、強豪に対して、それなりの戦いができていた。選手はベスト8入りの可能性を感じさせるプレーを披露した。

>>2-5あたりに続く)

個人 - Yahoo!ニュース
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