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■ゲームチェンジャーが、勝利をひとり占めする

 ビジネスや勉強をゲームに置き換えると、プレイヤーは、必ず勝者と敗者に分けられる。圧倒的に勝ちの多いプレイヤーのパターンは、実は決まっている。

 飛び抜けた能力の持ち主?  群を抜いた努力?  運のよさ?  いずれも勝者には必要な要素かもしれない。だが、勝ちをひとり占めできるのは「ゲームチェンジャー」だ。

 既存のゲームの中で戦うのではなく、ルールを利用して、自分のやりたい新しいゲームを始める。そこに他のプレイヤーを参入させ、市場を広げて勝ちを独占する。プレイヤーから、ルールメイカーに“転身”する。それが、ゲームチェンジャーのスタイルだ。

 最もわかりやすいゲームチェンジャーのモデルは、GAFAの創業者たちだろう。ラリー・ペイジも、スティーブ・ジョブズも、マーク・ザッカーバーグも、ジェフ・ベゾスも、自分でつくったビジネスに、数十億人ものプレイヤーを呼び込んだ。

 彼らが現在、世界の資産家ランキングの上位を占めているのは、IT革命というゲームをやりきったおかげだ。世界に敷かれた新たなルールを巧みに利用して、自分でゲームを始め、一番強いポジションを総取りしたのだ。

 僕の知り合いで、新しいゲームを始め、最近インパクトのある成果を上げたのが、絵本作家でタレントの西野亮廣さんだ。

 自身が原作を描き、製作総指揮・脚本に関わった映画『えんとつ町のプペル』を興行的に成功させた。コロナ禍という逆境のなか、オンラインサロンの拡散力を最大限に活かし、自分たちのできる宣伝をすべてやりきって劇場にお客さんを集めた。マンガ原作ではない長編アニメが、観客動員160万人、興行収入20億円(2021年3月時点) を突破したのは、快挙と言う他ない。しかも、2021年の日本アカデミー賞・優秀アニメーション作品賞を受賞した。

 彼は、作家活動を始めた当初から「ディズニーを倒したい!」と言っていた。その意気は買っていたけれど、僕は正直、大口を叩きすぎているなぁと思っていた。

 けれど、映画館で「えんとつ町のプペル」を観た後で、考えが変わった。上映時間の100分間で、僕は覚えているだけで4回、泣かされた。この作品の感動についてはSNSでみんな熱く語っているから、僕があらためて言及する必要もないが、何より素晴らしいのは、「とにかくすべてが世界標準でつくられている」ということだ。

 キャクラターも、ストーリーも、CGのクオリティも、海外市場で戦うことを視野に入れて、企画の段階から周到に準備したうえで制作されている。孤独な少年とモンスターが固い絆を結ぶという、シンプルな友情のストーリーに、STUDIO4℃がつくり上げたハイクオリティなビジュアル。毎年、ハロウインの時期になると繰り返し観られるような世界観に仕上がっている。

 ディズニーを倒すという、壮大なゲーム――。以前から西野さんが熱く語っていた、このゲームをクリアするための道筋が、本当に見えてきた気がする。西野さんは、このゲームをやりきるのではないか。僕は、そう思う。

 君たちも、彼らのように、ゲームをチェンジする側に立ってほしい。天才的な起業家であろうと、会社員であろうと、ゲームの原理原則は変わらない。

 やりたいことに巻き込むセンスと、情熱。それを頼りに、自分のゲームをとことんやりきる。これが勝利の条件だ。

以下略