2020.04.29

2020年4月29日は59歳で亡くなった漫画家、萩野真氏の一周忌です。1985年に「ヤングジャンプ」で連載を開始した『孔雀王』は大ヒット作品に。三上博史&ユン・ピョウのダブル主演で劇場映画化も果たしました。
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「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」

 2020年4月29日は59歳で亡くなった漫画家・萩野真氏の一周忌。1985年に「ヤングジャンプ」で連載を開始した『孔雀王』は大ヒット作品となり、当時の若者の間で「臨兵闘者皆陣列在前」こと九字護身法が流行するほどの影響力を与えました。
その後シリーズ化した『孔雀王』は掲載誌を変え2019年まで連載が継続、萩野氏は病床にて『孔雀王-戦国転生-』『孔雀王ライジング』両作品の最終回を書き上げ、漫画家としての人生を全うしました。ちょうど中学生のころに『孔雀王』の映画を観て、友達と一緒に九字護身法を練習していたライターの早川清一朗さんが、萩野氏を追悼します。

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 筆者が最初に触れた『孔雀王』は1988年に公開された劇場版でした。当時の友達と一緒に見に行ったのですが、孔雀を演じる三上博史さんが「臨兵闘者皆陣列在前!」の掛け声とともに切った滑らかな九字護身法の記憶が異様なまでに脳にこびりついています。そのごしばらく、友達と一緒に九字護身法を練習し、「臨兵闘者皆陣列在前!」印を切りながらじゃれあっていました。

 当然、発売されていた単行本も購入したのですが、掲載誌が「ヤングジャンプ」だったこともありきわどいシーンが多く、友達から「貸して!」と頼まれることもしばしば。また孔雀の格好良さからか、同級生の女の子にも「貸してほしい」と頼まれることがあり、ああいうシーンを見たらどう思うんだろうと少しドキドキしながら貸してあげていたことを思い出します。

 さて、そんな『孔雀王』の連載が開始されたのは1985年、今から35年前になります。この年はプラザ合意による一時的な円高不況や御巣鷹山に日本航空123便が墜落する事故などが発生し、社会を薄暗い影が覆っている時期ではありましたが、直後にバブル時代が訪れる、未来に希望が待っている時代でもありました。

 持ち込み活動を行っていた若かりし頃の萩野氏は、小学館に持ち込んだ際に酷評され、直後にすぐ近くにあったヤングジャンプ編集部に持ち込んだところ高評価を受け、マンガの世界に飛び込みます。しばらくアシスタントとして腕を磨いた萩野氏は、1985年、満を持して『孔雀王』の連載を開始、漫画家生活をスタートさせるのです。

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