◆ 『パタリロ!』生みの親・魔夜峰央はいかに“冬の時代”を過ごし、“春”を迎えたか

漫画家・魔夜峰央が埼玉県民を見事なまでにディスった、漫画『翔んで埼玉』が発表されたのは1982年から翌83年にかけてのこと。魔夜によるギャグ漫画『パタリロ!』がTVアニメ化され、段ボールでファンレターが届くほどの人気を博した時期でもある。

それから30数年を経て、『翔んで埼玉』は実写映画化され社会現象を巻き起こし、『パタリロ!』も2016年、2018年の舞台版と同じキャストとスタッフにより映画化。魔夜峰央の存在が、再び脚光を浴びている。

しかし、40年を越える漫画家人生は、決して平坦な道のりではなかった。単行本が売れずに税金を滞納し、過去に買った宝石を売却してしのいでいた“冬の時代”もあったという。それでも動じることはなかった。

本人いわく『パタリロ!』を貫く世界観は「行き当たりばったりの何でもあり」。まさしく魔夜峰央自身の人生を表す言葉でもある。

■ 舞台への要望は、バンコランとマライヒのキスシーンだけ

6月28日公開の劇場版「パタリロ!」は2016年、2018年に加藤 諒さん(パタリロ役)主演で上演された舞台の劇場版ですが、舞台化される段階で、魔夜先生から要望は出されたんでしょうか?

こちらから伝えたのは「バンコランとマライヒのキスシーンは入れてほしい」ということだけで、あとはほぼ“丸投げ”でしたね。

――キスシーンを入れてほしいと伝えた理由は?

絶対にお客さんが喜ぶだろうなって思ったからです(笑)。

――稽古場に足を運んだり、俳優さんとお話をされたりしましたか?

2回ほど稽古場に行きましたかね? 完全にお客さん目線で楽しんでましたけど。ただひとつ、役者さんを含めてみなさんに「6割の力でやりなさい」とお伝えしました。

――6割の力とは?

私自身が常にそれくらいを心がけているんです。だいたい、10割の力を出そうったって無理ですよ。そんなことを考えたら、肩に力が入って球が走らなくなります。もっと楽に「ど真ん中に投げて、それを打たれたらしょうがない」くらいの気持ちでいたほうが、案外相手が打ち損じてくれるものなんです。

――そういう考えに至ったきっかけがあったのでしょうか?

ハッキリ認識したのはいつ頃かなぁ?

だいぶ前ですけど、『パタリロ!』のエピソードの出来がものすごく悪くて「最低だな、これは」と思ったんです。逆に次に描いたものは「うん、これはいいぞ」と手応えを感じたんですね。でも、20年くらい経ってそのふたつを読み返したら、どっちがよくてどっちが悪いと思ったのか、わからなかった。

その際に「あのときの判断はひとりよがりだったんだな」と悟りました。自分の判断なんてどうでもよくて、いいも悪いもお客さんに任せればいい、力まず6割くらいの力でいいんだって。

――8割でも7割でもなく、半分よりやや上くらい?

8割はちょっとキツいですよ。いや、本当は5割でいいかなとも思いますけどね(笑)。半分よりちょっとやればいいよ、と。そういう姿勢だからこそ、ここまで長く続けてこられたんだと思います。

※続きは下記のソースでご覧ください

ライブドアニュース 2019年6月26日 11時55分
https://news.livedoor.com/article/detail/16528939/?_clicked=news_pc_top
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