貴乃花(46)は退職するにあたって、8月7日に協会から渡された文書の存在を強調した。
そこには八角理事長名義で「告発状の内容はすべて事実無根である」との内容が記されていたという。

 協会から一方的に、告発状は事実無根とする文書が送り付けられた揚げ句、「告発状を事実無根と認めなければ一門に入れない」「一門に所属しない親方は部屋を持つことができない」との圧力が退職の原因になったかのような印象を世間に与えた。

 しかし、「印象操作も甚だしい。協会に対して先にボールを投げたのは貴乃花の方だからね」とはある親方。「圧力」に関しては「印象操作」どころか、真っ赤なウソであることは再三、指摘した通りだ。

 去る3月28日、大阪のホテルで年寄総会が行われた。

主な議題は貴乃花親方の言動に関して。「協会に無断でテレビ出演、執行部を批判したのはなぜか?」「なぜ無断欠勤したのか?」「告発状を取り下げたと言われるが本当か? 自分が間違っていたと認めるのか?」などと実に1時間以上にわたって、約100人の親方が次々と貴乃花親方に質問をぶつけた。

 直前に弟子の貴公俊による付け人暴行事件が発覚して告発状は取り下げたものの、出した文書はなかったことにはならない。告発状と、告発状を取り下げる旨の書面は内閣府公益認定等委員会に残るだけに、親方衆の怒りは収まらない。告発状の正確な内容が知りたいと要望、次回の年寄総会に持参することになってお開きになった。

 迎えた5月2日、国技館地下の大広間で年寄総会は行われた。

■行為は間違いでも内容は正しい

 貴乃花が告発状のコピーを持参、年寄全員がそれを読んで総会はスタート。正面に年寄5人、その横に貴乃花が座る。最初は正面の年寄、次にそれ以外の親方衆が貴乃花に質問していった。「告発状を出すという行為は我々の生活権を脅かし、侵害することになるのではないか?」「オレたちが路頭に迷ってもいいのか?」「協会を陥れるつもりか?」……。

これに貴乃花は「告発状を出すという行為が間違っていたので取り下げたが、告発状の内容自体は間違っていない」「協会を陥れるつもりはない」「自分はただ正しいことを伝えたかった」などと答え、「告発状に間違っている点があれば指摘して欲しい。その点について真摯に検討し、回答したい」と言った。

 つまり8月7日の文書は「間違いがあれば指摘して欲しい」という貴乃花の要望に対する協会の回答、見解なのだ。そこに告発状が事実無根であることは記されていても、事実無根と認める要請や表現はない。

 この後、協会の見解に対し、貴乃花は再度、弁護士を通じて反論。9月27日の年寄総会で貴乃花本人が説明することになっていたが、2日前の25日、貴乃花は会見で退職を表明した。

「貴乃花は国技館の年寄総会でも大阪同様、1時間以上にわたって親方衆から質問攻めにされた。比較的穏やかな話し合いだったとはいえ、なにしろ1対100だからね。さすがに貴乃花は辛抱し切れなくなった。つるし上げられるのが嫌で年寄総会を前に辞めたのだと思う」とは前出の親方だ。 
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