チームの再建は、守備の要として2度のリーグ優勝に貢献した矢野新監督の手腕に託された。金本監督の辞任からわずか4日後のスピード就任。だが、その裏には矢野氏の苦渋の決断と計り知れない苦悩があった。

 球団が望むのは、「育成」と「勝利」の相反する二つの理想の実現。ともに目標に掲げた金本監督だが、若手を積極的に起用し成長を促したが結果が伴わず、就任3年と道半ばでの辞任に追い込まれた。

 矢野氏にとって、同い年で同じ東北福祉大出身の金本監督は「盟友」とも呼べる存在。その突然の辞任に続く後任要請に「こんな形はない。全部納得というわけにはいかない」と複雑な感情を抱いた。直前まで球団は金本監督の続投を前提に、矢野氏にも来季の1軍ヘッドコーチを打診していただけに、急転直下の事態に戸惑いを隠せなかった。

 「考える時間がほしいのに時間がなさ過ぎて」と限られた時間の中、就任の決め手になったのはチームとファン、そして金本監督への思いだ。揚塩球団社長は就任要請の場で「金本路線を引き継げるのは矢野さんだと思います」と伝えたという。チームを助けたいとの思いは「金本監督と(コーチとして)戻ってきた時の気持ちは、今も変わらない」と話す矢野氏は、金本監督の意志を継ぐのは「自分だという思いがすごくある」と明かす。

 「思い通りにいかない中でやる形になる」と分かっていながら、覚悟を決めた矢野新監督。コーチ編成を皮切りに、今後チームに大胆にメスを入れることになる。
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