対局後にスマホでAIの分析を見る中国のトップ棋士、柯潔九段(右)。“AI信仰”は急速に広がっている=8月21日、東京都渋谷区
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 囲碁の日本棋院は来月1日から、棋士が所持するスマートフォンを対局前にロッカーに預ける新規則を施行する。超人的な棋力を持つAI(人工知能)不正利用の予防策。将棋界に続き、AIの脅威は盤外にも波及した。

 日本棋院はこれまで対局管理規定に「対局者は対局中に、電子機器を使用してはならない」と定めていたが、具体的な予防策は設けていなかった。新たな規定では先の文言に加え「前記の行為を防止するため、対局者は対局開始前に電子機器を備え付けのロッカー等に保管し、対局終了まで取り出してはならない」と定めた。

 現行の規定ではスマホの使用を禁じているものの、棋士は対局室に持ち込み、昼食・夕食休憩時には携行して外出することができる。疑いの目で見れば、対局中にはトイレで、外出中には人目につかない所で進行中の対局をスマホに呼び出し、AIに判断を仰ぐことができる。

 将棋界では、すでに2016年12月から棋士がスマホを預ける規制を導入し、17年10月からはさらに厳格化して金属探知機を使った持ち物検査を実施している。囲碁界が将棋界に倣わなかったのは、超人AIの普及が将棋界に比べ遅れていたからだ。

 当時、囲碁界では英ディープマインド社のAI「アルファ碁」が世界トップ棋士を圧倒。将棋界のAIと同様に超人の域に達していたが、同社はソフトの設計図を公開しなかったため、第三者が複製して利用することはできなかった。しかし今年に入り、ベルギーのプログラマーが開発した「LeelaZero(リーラゼロ)」、米フェイスブック社「ELF(エルフ)」の二つの超人AIの設計図が公開され、事情が一変した。

 日本棋院副理事長の小林覚九段…残り:695文字/全文:1383文字

2018年9月26日15時40分
朝日新聞デジタル
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