愛知県のスーパーでフグの肝が平然と売られていたため世間は騒然となっているが、こちらはフグの毒ではなく、毒を吐く「とろサーモン」にまつわる話。
この魚のような名前は吉本芸人のコンビ名。彼らの信仰が明かされ、「その会」の人々は騒然となったという。

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1月1日と2日は、その会にとって特別な日である。「各地に点在するうちの会の関連施設で新年勤行会が開かれるんです」と、古参の創価学会員が解説する。

「神社やお寺に行かない学会員にとって、この勤行会は初詣のようなもので、題目を唱え、池田大作名誉会長のメッセージが読み上げられたり、地区トップの挨拶を聞いたりします」

そして今年、関東のある施設での勤行会に参加した学会員が説明するには、
「とろサーモンのふたりは、男子部地区リーダー、副リーダーとして活躍している。彼らは、やはり学会員である漫才コンビ『ナイツ』でも達成できなかった実績を、お笑いで残している――

そんな話が披露され、多くの参加者はとろサーモンがうちの会員だったと知らなかったようで『へーっ』と驚きの声があがっていました」

とろサーモンはボケの久保田かずのぶ(38)とツッコミの村田秀亮(ひであき)(38)の漫才コンビで、久保田の母親曰く、
「息子から、たしか高校を卒業した頃に、創価学会に入信したと聞かされました。(相方の)村田さんから勧誘された? そちらの情報調べ、すごいわね」

◆新たな「広告塔」
 
そんなとろサーモンは、売れっ子芸人の登竜門となっている「M-1グランプリ」で、昨年12月、ナイツが果たせなかった優勝を飾る。彼らの芸を、江戸川大学准教授でお笑い評論家の西条昇氏はこう解説する。
「お金がない時に当時の妻をガールズバーで働かせたとか、その妻の財布から金を抜いて危うく逮捕されそうになったといった、久保田のクズっぽいエピソードがとにかく強い。『闇』を孕んだシュールで毒のある面白さが持ち味と言えるでしょう」

こうして「毒」を武器とし、今年さらなる露出増が期待されるとろサーモン。創価学会に詳しいジャーナリストの乙骨正生氏は、

「公明党の比例獲得票が減っているように、創価学会は退潮傾向にあると言えます。それだけでなく、平和や人権尊重を主張する創価学会の中では、集団的自衛権の行使容認、共謀罪の成立、改憲論議など、
公明党が自民党に引きずられていることに不満の声があがっている。こうした状況で、学会員の士気を保ち、高めるために、勤行会でとろサーモンの話題を出したんでしょう。広告塔ですね」

と、学会内で持て囃される背景を指摘するが、前出の久保田の母親は、

「息子たちは15年以上の下積みがあってようやく人気が出ました。いつまた昔の状態に戻ってしまうかヒヤヒヤで不安です」

鰯(いわし)ならぬとろサーモンの頭も信心から。信仰との縁が実を結び、果たして彼らは旬である今の人気が「とろ」けるのを「さけ」ることができるのか。

「週刊新潮」2018年2月1日号 掲載

2/6(火) 5:59配信 ディリー新潮
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