進路表明「清宮幸太郎」行間ににじむ“意中の球団”

「7月頃まで“早大進学が濃厚”と言われていました」

 と大手紙デスクが語る。

「記者会見で“U-18W杯後に決めた”と言っていましたが、日本代表でクリーンナップを組んだ履正社の安田や広陵の中村といったプロ志望のライバルたちを目の当たりにして、のんびり進学している場合じゃないと危機感を持ったのでしょう。生涯に投げられる球数が決まっていると言われる投手と違って、打者はいろんな投手の投球を見て成長する。大学のヘボ投手の球を打って喜んでいる暇があったら一球でも多くプロの投手の球筋を見ておいた方がいい。賢明な選択です」

 プロに行くことが決まった以上、次なる関心は“どのユニホームを着るか”だ。

 清宮は意中の球団を明かしていない。会見でも、“12球団OKか?”という質問には、

〈まあ……あの……自分を厳しく指導してくれて、成長させていただける球団に行きたいと思います〉

 と言葉を濁した。これは、

「つまり、球団によっては“NO”もある、という余地を残しています」

 そして、会見での彼の発言の行間を読んでいくと、“意中の球団”が浮き彫りになってくる。

 ポイントは主に3点。

 まずは、前述した〈自分を成長させていただける球団〉。これは、“きちんと若手を育成している球団”と読み替えることができる。

「父・克幸さんの方針ですね。ラグビーの強豪・ヤマハで監督を務め、“父ではなく指導者として息子に助言した”という克幸さんが最も重視している条件と言われています」

 育成に定評があるのは、日本ハムやソフトバンクなど。逆に、“松井2世”と期待された大田泰示を育てきれずに昨オフ、日ハムに放出した巨人はマイナス査定必至。新人の年俸を2年目から平気で下げるなど、アマ球界で“ブラック”認定されている中日は論外なのだそうだ。

三拍子揃った球団
 また、清宮は、

〈早実の先輩である王貞治さんの868本を目指せるような選手になりたい〉

 と述べた上、本塁打王のタイトルについても意欲を見せている。

「なので、本塁打が出やすい球場を本拠にする球団に食指が動くでしょうね」

 例えば、横浜スタジアムは12球場で最も狭く、本塁打も多め。福岡ヤフオクドームも、一昨年外野席を増設して本塁打が急増した。Koboパーク宮城はフェンスが低いためライナー性の飛球がスタンドインしやすく、広いわりに本塁打が多い。一方、甲子園球場は、浜風の影響で、特に左打者は本塁打を打ちにくいとされる。清宮は左打ち。克幸氏は虎党だというが……。

 そして第三の注目発言が、

〈夢はメジャーで活躍すること〉

 リトルリーグ時代にヤンキースタジアムで世界大会を経験した清宮は、ことさらメジャー志向が強いが、この発言の裏に隠れているワードは“ポスティング(米球団による入札制度)”。

「大谷翔平の日ハム入団時に噂された“ポスティング容認”の密約。清宮もそういうものを求める可能性が高い。例えば巨人はポスティングを認めていませんが、その“哲学”をまげてまで彼を獲りに行くのか……」

 というわけで、これらの条件を全て満たして余りある球団がある。

「ずばりヤクルトです。山田哲人という高卒スラッガーを短期間で一流選手に仕上げた実績があり、12球場で最も本塁打が多い神宮球場が本拠地。青木宣親がメジャーに挑戦する際は、球団が大損を承知の上でポスティングに出しています」

 加えて、東京は彼の地元で、神宮は庭のようなもの。

「ヤクルトは今季最下位のチームですから、比較的レギュラーも獲りやすい。彼のポジションである一塁手も今のところ空いています」

 注目のドラフト会議は10月26日に開催される。

「週刊新潮」2017年10月5日号 掲載
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170927-00530908-shincho-base&;p=2