最終赤字6712億円。日産自動車の昨年度の決算は、販売不振に加えて巨額の構造改革費用を計上し、
およそ20年前、経営危機に陥ってルノーから資本を受け入れた当時に匹敵する赤字となった。
ゴーン元会長の事件以降、混乱が続いてきた日産は、今回、立て直しに向けて「量から質」への転換を図る
2023年度までの中期経営計画を打ち出した。改革のキーパーソン、アシュワニ・グプタCOO=最高執行責任者に決意を聞いた。(経済部記者 大江麻衣子)

“現場”の声

アシュワニ・グプタ氏はインド出身の49歳。35歳でルノーに入ったあと、日産との連合のもとで部品の調達などを経験し、
その後、日産で新興国向け小型車ブランド「ダットサン」の収益管理の統括責任者などを務めた。

そして、三菱自動車のCOOをへて、去年12月、内田誠社長に次ぐ日産のナンバー2の立場に。連合を組む各社の事情に精通しているのが強みだ。

グプタCOO
「私は自分を“現場の人(Gemba Guy)”だと思っていて、COO就任直後から、工場や研究開発センター、販売会社などに足を運びました。
そこで見えてきたのは、最新の運転支援システムなどの技術面の強みや、すぐれた従業員たちの姿です。
一方で、発売から年数のたった車齢の高い車が多いという指摘も受けましたし、ゴーン元会長の事件を受けて、
従業員の間で、日産の将来への不安やいつ業績が回復するのかといった声が強いことも分かりました。
そこで中期経営計画では、明確なビジョンを設定し、従業員全体に改革への参画意識を持ってもらうことを目指したのです」

規模から価値へ

日産の業績は、新型コロナウイルスの感染拡大前から悪化していた。新車の投入が他社に比べて遅れを取り、
主力のアメリカ市場では販売奨励金を使った値引き販売に頼ったことでブランドイメージが低下。

ゴーン元会長時代の拡大路線は裏目となり、700万台規模の生産能力に対して、昨年度の販売は500万台を下回る状況になっていた。

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200618/k10012474671000.html
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