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調査方法 中江氏が意見か 勤労統計で元首相秘書官 有識者検討会「現状維
持」を修正

 毎月勤労統計の調査方法が昨年1月に変更されたことを巡り、2015年に
厚生労働省の有識者検討会が「現状維持」の方向性でまとめようとした際、当
時の中江元哉首相秘書官が変更について再検討を求める意見を同省幹部に伝え
ていたとみられることがわかった。根本厚生労働相が20日の衆院予算委員会
で明らかにした。

 厚労省は中江氏の意見を踏まえ、検討会に対して再検討を求め、現状維持の
結論は見送られた。野党は「首相官邸の圧力があった」と批判している。

 問題になっているのは、中規模事業所の抽出方式が総入れ替えから部分入れ
替えになった経緯だ。検討会の議事録によると、15年8月7日の第5回会合
で、阿部正浩座長がいったんは総入れ替え方式を維持する方向性を示したが、
9月16日の第6回会合で出された中間報告では「引き続き検討」と軌道修正
された。抽出方式の検討はその後、内閣府の統計委員会(16年4月に総務省
に移管)に移され、総務省が変更を承認した。

 この日の予算委で厚労省は、第6回会合2日前の15年9月14日、担当者
から阿部座長に対し、「関係者から部分入れ替え方式を検討すべきではないか
との意見があった」とのメールを送ったと説明。根本氏は、当時の検討会の事
務方責任者だった姉崎猛・元統計情報部長がこの関係者について、「中江氏の
ことだと思われる」と話していることを明らかにした。

 厚労省は、メール送信の日に姉崎氏が中江氏と面会し、検討会の状況を報告
していたことも認めた。中江氏は18日の予算委では「(検討会で)どういう
議論が行われたとか、その結果について報告を受けた記憶はない」と答弁して
いた。

 中江氏は20日の予算委でも、面会について「私には記憶がない」と述べた。
一方、「(部分入れ替えの)専門的な検討を進めたらどうかと言ったかもしれ
ない」とも答弁した。部分入れ替え方式は、総入れ替え方式に比べて数値変動
が緩やかになるとされる。安倍首相への報告は「していない」とした。

 部分入れ替えの採用について、野党は昨年の賃金上昇率の上振れ要因になっ
たとして、「アベノミクスの成果を偽装するための恣意的な変更だ」と主張し
ている。

 姉崎氏は22、25日の予算委に参考人出席する。
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https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190221-OYT1T50094/