注目されるのは、経済波及効果だ。2005(平成17)年の愛知万博は約1・6兆円の経済効果があったとされるが、政府はインバウンド(訪日外国人客)の増大が続く大阪での25年万博では約1・9兆円の経済効果を見込む。
来場者数も愛知万博の約2200万人をしのぐ2800万人と予想する。
ただ、25年万博の開催期間は5〜11月の半年間。経済効果は一過性だ。
これに対しIRは、カジノに加え国際会議や展示会の会場、大型ホテル、劇場などエンターテインメント施設などが将来数十年間にわたって継続運営される。

25年万博の大阪開催が決まった24日未明、大阪進出を検討している海外の大手IR運営事業者もさっそく祝福のコメントを発表。
米ラスベガス・サンズは「政府、経済界、自治体のチームワークが功を奏した、オールジャパン体制での尽力に深い感銘を受けた」とたたえ、
香港系のギャラクシー・エンターテインメント・グループは「夢洲で万博に加えIRが実現すれば、日本の経済成長・観光発展に非常に意義あることになる」とアピールした。
大阪府・市は、万博開催に向けて前年の24年にもIRを開業させたい考えを示している。

10年に2件のIRを開業したシンガポールでは、国を訪れる外国人客が約8割増加。国際会議の開催件数も5年で23%増えたという。
大阪府は昨年、IRの運営による経済効果を年間6900億円、雇用創出効果を8・3万人との試算を公表した。

また、IRの収益の柱であるカジノについては、粗利益の3割が「納付金」として政府と自治体に納められるため、行政の財政面にもメリットは大きい。
万博の会場建設には政府、大阪府・市、財界が計1250億円を出資する計画だ。一方、大阪府・市はIR事業者に、夢洲への鉄道網などインフラ整備への出資も求めている。
万博、IRの両輪で投資が進めば、湾岸地域での経済活動の環境は大幅に改善しそうだ。

2018.11.25 05:02
https://www.sankei.com/west/news/181125/wst1811250002-n1.html