2月21日、中居正広がジャニーズ事務所を退所して独立することを発表した。これは今後、どのような動きを引き起こすだろうか。


■ネットメディアに描かれた『新しい地図』
昨今全般的に見られる動きとしては、芸能人のTVからの離脱の傾向である。最初に大きな動きとなったのがSMAPとジャニーズの対立だ。

稲垣吾郎、草g剛、香取慎吾の3人が『新しい地図』として、ジャニーズから独立した。芸能事務所に敵対的な独立は御法度なので、『新しい地図』は「ボーダー(境界)を超えよう」とスローガンを掲げた。

そして、事務所や地上波の境界を乗り越えるべく、AbemaTVやSNSでの活動に取り組んだのだ。


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■地上波にも描かれ始めた

旧来の権力秩序に立ち向かおうとする彼らは多くの支持を得た。昨年末の大晦日では日本テレビ『絶対に笑ってはいけない青春ハイスクール24時!』に『新しい地図』のメンバーが出演した。

業界最大手の事務所である吉本興業のトップであるダウンタウンの象徴的な番組への出演は、『新しい地図』の地上波解禁のほとんどそのものであるといっていいだろう。

■地上波から解放された木梨憲武

地上波に縛られない活動といえば木梨憲武が象徴的。木梨は、TBSラジオ『土曜朝6時 木梨の会』 を仕事の拠点とする。また、初のソロアルバム『木梨ファンク ザ・ベスト』を発売。オリコン週間デジタルアルバムランキングなど、7つのランキングで1位をとった。

こうした音楽活動も同番組から始まっているものばかり。単なる音楽活動ではなく、フェスを開催したり、たびたび一般人を公募してステージに上げたりするなど自由な参加型コミュニティを目指す。


■やりたいことをやるタレント

木梨はいかにも芸人。日頃のレギュラー番組ではあまり楽しそうではなかった。しかし、フジ『笑っていいとも』やフジ『とんねるずのみなさんのおかげでした』での『ア〜イア〜イおじさん』などではやる気が違ったのだ。

晩期『みなさん』の企画でも、当時の演出マッコイ斉藤の「強めの演出」に対する反抗、という「笑い」のカウンターを当てていた。

よしもとを中心にしつつ作り上げられてきた「お笑い」の世界観や法則に飽きていたことが見え隠れする様子だ。

■TV 対 YouTube

ここにきて、YouTubeを始める芸能人も増えている。しかし、芸能人がYouTubeを始めれば人気が出るというものではない。それはネット側とTV側のある種の対立構造によるものだろう。メカニズムとしては媒体の距離感にある。

YouTubeはより近い距離感で動画投稿者と視聴者を結びつけるメディア。それに比べるとTVは距離感がある。そのとき、芸能人がYouTubeを始めても、人気にあぐらをかいた距離感が維持されてしまう。

カジサックことキングコング・梶原雄太は、YouTubeに身を預けた成功の代表例。宮迫博之もまだまだ、リスナーにどこまで寄り添えるかが問われる。


■ジャニーズは地上波衰退に貢献?

ジャニーズはSMAP騒動を契機にするかのごとく直近では長瀬智也のように中枢メンバーを流出している。

明石家さんまは、矜持のように「YouTubeは敵」と言いつつ、同時に冗談まじりで「メリー派」と言うが、その矛盾が気になってしまうほどに、ジャニーズは地上波から中枢メンバーを流す。

『新しい地図』のWeb戦略は、 地上波から疎遠になりつつある芸能人に勇気を与えたのだ。中居のレギュラー番組は継続するようだが、元SMAPがネットメディアを捨てて地上波に戻ってくるわけではないだろう。

TVとネットメディアの力関係が大きく動きつつある。

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2020年03月07日 17時40分 しらべぇ