「批判する人は中身読んでいない」脅迫されたトランスジェンダー本監訳者「学術価値高い」
https://www.sankei.com/article/20240404-3VJANQVSIZMGTAGVEKYJNPZAXY/

心と体の性が一致しないトランスジェンダーの実態を取材した米国書籍の翻訳本「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇」(産経新聞出版)が3日、全国の書店で発売された。同書は昨年末、大手出版社のKADOKAWAが批判を受けて発行を中止。今回も発売前に書店の放火を予告する脅迫メールが届いた。

監訳者で解説も担当した精神科医で昭和大の岩波明特任教授は、産経新聞のインタビューに応じ「本書は非常に丁寧に書かれた学術的にも価値のある本だ。批判する人も、まずは本書を読んでからしてほしい」などと語った。

本書によると、米国では、トランスジェンダーの急増という状況を引き起こした要因として、教育現場とカウンセリングの問題が挙げられている。米国の多くの高校や大学では、性別違和を訴える少女を擁護し、親に知らせることなく男性名の使用を認めたり、積極的にホルモン療法や手術に誘導したりすることもあるという。

こうした本が攻撃の対象となる風潮については「昨今は本当に『炎上社会』で、ある意味、手法として確立されてしまっている」と指摘。「ただ、問題は、批判する人たちは中身を読んでいないこと。批判のための批判をしている印象がある」と述べた。

また、「現在のトランスジェンダーの問題は、差別と少数者の権利擁護の側面ばかりがクローズアップされているが、本来は医療の問題だ。そうした観点から書かれた本はこれまで日本にはなかった」と説明し、こう続けた。

「医療の問題を人権とくっつけてしまうために、おかしな状況が生まれている。人権の問題はきっちりと扱えばよいし、医療については、本書のような問題提起にしっかり向き合う必要がある」