こうした「滑走路誤進入」の過去の記録を調べてみると、ヒューマンエラーによる“ヒヤリハット”の事案が起きていたことが改めて明らかになった。(取材・文=大宮高史)

本事故で衝突した原因は調査中だが、こうした「滑走路誤進入」は、航空重大インシデントとして発生するたびに、運輸安全委員会の調査がなされている。同委員会のサイトでは報告書を調べることができ、2007年から22年までの16年間で32件が記録されている。小型機同士のものや、航空機ではなく車両が進入した事例もあるが、中~大型民間機が絡む主なものでも2010年代には以下7件が発生している。



いずれの事例でも、出発機側の滑走路進入に気づいた管制官が着陸機に着陸をやり直す「着陸復行」(ゴーアラウンド)を指示し、衝突は回避されている。出発機が誘導路を越えて滑走路に入った経緯は報告書で分析されているが、いずれも交信の過程でのヒューマンエラーによるものと指摘されている。発生時間帯は昼間のものが多いものの、17年2月14日の成田空港と、11年10月12日の関西国際空港の事例のように夜間帯でも起きている。

JAL516便と海保機が衝突に至るまでに、管制と乗員がどのような認識を持っていたか、また管制・JAL機とも海保機の滑走路進入に気づかないまま着陸に至った経緯を調べることが、事故原因の突き止めと再発防止の鍵になるものと考えられる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c90eba3431956509b4904548db27ba2e94ca2b50