スターフライヤーのペット同乗サービスは1便あたり2組限定で、最後尾席の窓側のみ。
ペットを入れるケージの大きさは50センチ×40センチ×40センチで、スターフライヤーが用意するほか、規定サイズ内であれば利用客のものをそのまま持ち込める。
飛行中はケージからペットを出すことはできない。利用料金は1匹5万円で、飼い主の運賃は別途必要になる。

では、JL516便のような緊急事態が発生した場合はどうなるのだろうか。
スターフライヤーによると、「残念ながら現在のルールでは持っていけません」という。手荷物と同じ扱いとなるためだ。
家族の一員であるペットを「もの」「貨物」として扱うことは、受け入れがたいという飼い主が多い。
このため、飼い主の中には空の旅にペットを同伴すべきではない、という考え方の人もいる。
JALによると、JL516便の事故では乗客が客室乗務員の誘導に従い、手荷物を持たずに避難したことが全員無事に脱出する上で重要な要素だったという。
航空各社が機内で上映している安全ビデオでは、手荷物を持たない、ハイヒールは脱ぐなどの緊急脱出時のルールが説明されるが、
けがやさらなる事故を防ぐとともに、脱出用シューターの破損を防ぐ意味もある。
仮にペットと一緒に緊急脱出できるとルールが見直された場合、別の問題が起こる可能性がある。
乗客の中には、手荷物を持って脱出したい人が出てくるだろう。
例えば重要なデータが入ったノートパソコン、高価な楽器、大切にしているぬいぐるみなど「生き物ではないが、持ち主には非常に重要なもの」だ。
ペットと飼い主が一緒に避難できるか否かだけを議論することは、新たなリスクを生み出す可能性があり、多面的な見方が不可欠だ。
特にペットを飼っている人とそうでない人では、ペットに対する優先度や許容度が大きく異なり、「ペットは特別扱い」といった形になると、
乗客が些細(ささい)なことをきっかけに自分勝手な行動に走り、客室乗務員の指示を守らず、緊急脱出に支障をきたす事態も起こりうるだろう。

ペット同乗便の緊急脱出「持って行けない」手荷物と同ルール適用
https://news.yahoo.co.jp/articles/f1d05e76dac51d02c77272ad30dac39529eaa525