クレジットカードの不正利用被害が深刻だ。被害額は年々増え続け、昨年は過去最悪に。カード番号を盗む手口は巧妙化しており、
専門家は「誰でも被害に遭う前提でいた方がいい」と呼びかける。不正利用の現状や、普段から気を付けておくべきことを取材した。

■実態
日本クレジット協会によると、昨年の被害額は約437億円。前年に比べて、3割増加した。今年6月までの被害額も約262億円と
前年同期を上回り、過去最悪ペースとなっている。

不正検知サービスを提供している会社「かっこ」(東京)の前田亜由美さん(41)は「オンライン上でカード情報を盗まれるケースがほとんど。
インターネットで買い物をする人が増え、被害も増加している」と話す。「番号を盗む手口は巧妙化、多様化している。
どのようにして、カード番号は盗まれるのか。一つは、サイバー攻撃によって企業から情報が流出するケースだ。

このほかに深刻なのは、「フィッシング」の被害だ。実在の企業になりすましたメールやSMS(ショートメッセージサービス)を送るなどして、
個人情報を入力させる。フィッシング対策協議会(東京)によると、今年9月に寄せられたフィッシングの報告は11万件を超える。
実在のドメイン(ネット上の住所)が使われたり、本物のメールの文面がコピーされたりしていて、
消費者が見分けるのは困難なものが増えているという。

■対策
クレジットカードに詳しい、ポイント交換案内サービス「ポイ探」社長の菊地崇仁さん(48)は、「これだけやっておけば大丈夫という
『絶対の対策』はない」と強調する。
不正利用にいち早く気付くことが鍵になる。基本的な対策は、利用明細の確認だ。菊地さんは「オンラインで2、3日に1回はチェックを」と呼びかける。
気を付けたいのは高額の利用履歴よりも、数百円から数千円単位の利用だという。
菊地さんによると、犯罪者側が有効なカード情報か試している可能性があるという。

不正利用のリスクをできるだけ抑えるには、使っていないカードを解約することも重要だ。新たに1枚作った場合には、1枚解約するなどして、
「(管理しやすいよう)できれば3枚程度に抑えた方がいい」という。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/287591