保護者からの飼育セットの寄付や生き物の世話の申し出を「飼育のためではない」と固辞

 茨城・結城市のある市立保育園で、「子どもは生き物をおもちゃにして遊ぶことが教育」という指導方針のもと、生き物たちのずさんな管理が行われているという相談がENCOUNT編集部に寄せられた。いったい何があったのか。告発した保護者と保育園を管轄する結城市に事情を聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

 問題となった保育園に5歳の娘を通わせる保護者の男性によると、園では散歩中にオタマジャクシやカエル、カブトムシなどの生き物を子どもたちが捕獲。男性は「水を張っただけのバケツや砂場の砂を敷き詰めただけの飼育ケースにそれらの生き物を放置したり、時には泥団子に入れて投げつけたりして、次の日には死んでしまうということが常態化している」と保育園のずさんな管理の実態を語る。

 見かねた男性が「水槽や飼育セットを寄付します」「生き物のお世話もこちらでやります」と申し出たところ、保育園の所長から「飼育するために捕まえてきているわけではない」「幼児は自分より弱い生き物をおもちゃにして遊ぶことが大事な教育。うちの園ではそういう方針でやっているので」と断られてしまったという。

「子どもが遊びの中で虫を殺すことはありますし、飼育の仕方が間違っていて死なせてしまうことも仕方がない、子どもたちにとってはそれもいい経験になると思います。ただ、大人の側が『子どもは生き物を殺すことが教育』と言い切ってしまう姿勢はどうなのか。自分も子どものころに虫を殺したことがありますが、少なくともそれは親や先生の前ではやってはいけないことだと思っていました。虫をいじめていたら『かわいそうだからやめようね』とか、死なせてしまったら『次は死なないように工夫してみようか』とか、命の大切さを教えることこそ教育ではないでしょうか」

 男性はその後、保育園を管轄する結城市の子ども福祉課にも相談したが「市役所では教育のことは分からない」との回答に留まった。保育園の所長と市の職員、男性の三者での話し合いの場を設けてもらえるよう掛け合っているが、先送りの状態が続いているという。


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