「アマゾン配達」AIの理不尽な指示で混乱、ドライバー「運転ミスで交通安全脅かされる」

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軽貨物の配送ドライバーらが加盟する「建交労軽貨物ユニオン」などは11月10日、ドライバーの待遇改善を訴えるシンポジウムを都内で開いた。

【写真】アマゾンに潜入

シンポには、アマゾンの荷物を運んでいた元ドライバーが登壇して「荷物の積載数や配達エリアをAIで決められるようになった結果、交通安全が守られなくなった」と批判。

ユニオン関係者らはシンポジウム終了後、アマゾンジャパン本社を訪れ待遇改善に関する要望書を渡そうとしたが、「門前払い」に遭い文書の受け取りも拒否されたという。

●荷物量、配達エリアをAIが決めることで生まれるリスク

配送ドライバーの多くは、個人事業主として運送会社などと業務委託契約を結び、荷物を運んでいる。個人事業主は本来、契約企業の指揮命令を受けずに自己裁量で作業の進め方を決められるはずだが、実態は雇用されたドライバーと同じ仕事をしている、というケースも珍しくない。

アマゾンの荷物を配送するドライバーだった大島二郎さんによると、積み込む荷物の数や、どのエリアを何時まで誰に任せるかを決めていたのは、契約していた企業の社員ですらなくAIだった。積み込み作業が長引くなどして、AIの計画通りには配達が進まないこともしばしばあったが、現場の管理者は元請けの不興を買わないよう、AIの言いなりになっていたという。

大島さんは「人間が常識の範囲内で判断すれば、安全に配達できるはずなのに、AIという制御できないシステムに指示されるためドライバーがやむなく運転を急ぐなどして、交通安全が脅かされるリスクが生まれていた」と語った。

●4人に1人が「労働時間12時間超」、コロナ禍で配達単価は下落

軽貨物ユニオンの高橋英晴執行委員長は、ドライバーに対して実施したアンケート結果を発表した。それによると回答数132件の25.8%が、1日の平均労働時間を「12時間超」、約半数が勤務日数を「週6日以上」と回答していた。高橋氏は「長時間労働が蔓延している上に、休日も確保できていない実態が明らかになった」と話した。

さらにコロナ禍で職を失った人が、参入障壁の低い配送ドライバーになったことで「仕事の取り合いが生じている」とも指摘。新たにドライバーになった人らが、不慣れな仕事で「1年に2、3回交通事故を起こすケースもある」という。

配送中の転倒や重い荷物の運搬などでケガを負うドライバーも多く、ユニオンに寄せられた相談の中には「ケガで仕事を休んだところ、他のドライバーが穴埋めに入り仕事に戻れなくなった。その上、稼働できなかった時間の損害賠償を請求された」といった内容もあった。