【ニューデリー時事】インド西部グジャラート州で起きたつり橋崩落事故から、6日で1週間が過ぎた。捜索は終了し、
確認された死者は135人。橋の改修に携わるなどした9人が逮捕され、捜査の過程でずさんな工事が明らかになったほか、
工事委託を巡る不透明さも浮上している。

 橋は英植民地時代の約140年前に架けられた。改修を経て、州の新年に当たる10月26日に一般開放された直後、
事故が起きた。橋のあるモルビ地区で菓子店を営む男性は「犠牲者の多くはモルビの住民。全員が亡くなった一家もある。
皆がショックを受け悲しんでいる」と語った。

 地元メディアが伝えた捜査報告書の内容によれば、橋の改修を請け負った地元のオレバ社は、古くさびたケーブルを交換せず、
潤滑油を差すなどのメンテナンスも怠っていた。想定を上回る人出や取り換えられたアルミ製の床版の重さにケーブルが
耐えられず、切れた疑いがあるという。

 オレバ社は橋の再開に当たり、地元当局から安全性を保証する書類を得ていなかった。そもそも同社は時計や電化製品の
メーカーで、インフラ工事の経験はなかったといい、なぜ自治体から改修を委託されたのか疑問視する声が相次いだ。

 さらに、逮捕されたオレバ社幹部の一人が、事故を未然に防ぐことはできなかったとの趣旨で「神のみわざだ」と語ったと報じられ、
批判の火に油を注いだ。野党政治家は「神のみわざではなく詐欺のみわざだ」と述べ、批判の矛先を州政権を担う与党インド人民党
(BJP)にも向けた。

 事故の調査が続く中、グジャラート州議会選が12月に行われることが決まった。同州はBJPを率いるモディ首相の出身地。
選挙結果は2024年の総選挙の行方を占うとみられ、対応を誤れば政権を揺るがしかねない。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022110500358&g=int