東京電力福島第一原発の「処理水」に含まれる放射性物質トリチウムについて、「生物濃縮する」として、Twitter上などで処理水の海洋放出に反対する声が出ている。
しかし、水の状態のトリチウムが生物濃縮を起こすことは確認されていないため、こうしたツイートは「誤り」だ。
なかには、大規模な労働団体の幹部がツイートし、のちに誤りを認めて取り消した例もある。ファクトチェックした。【BuzzFeed Japan / 相本啓太】

「トリチウムが生物濃縮する」とツイートしたうちの1人は、青森県労働組合総連合(県労連)の奥村栄議長。10月28日、次のようにツイートした。

「汚染に苦しんできた福島県漁民。ようやく本格操業移行期に入ったが「関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない」という約束を反故!岸田政権と東電は来年春から放射性物質であるトリチウム水の海洋放出を強行!薄めるから大丈夫?水と化学的性質が同じなら生物濃縮する!これ以上漁民を苦しめるな!」

大きく拡散はしなかったが、リプライ欄には「トリチウム水が生物濃縮する」という記述に対し、科学的根拠を求める声が相次いだ。

奧村氏はその後、「専門家の本によると、『内部被曝で健康破壊を起こす』『希釈しても生態系を通じて濃縮される』」といった趣旨をツイートした。

しかしその後、ツイートを削除したうえで、30日に「『トリチウム水』をめぐる記述に、科学的に明確な誤りがありました。ここにツイートを削除し撤回させて頂きたいと思います」と、自ら誤りを認めた。

「トリチウムが生物濃縮する」として海洋放出に反対する趣旨のツイートは、このほかにいくつもある。

しかし、そのほとんどは、奥村氏のように誤りを認めて取り消したりはしていない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/992e1498e469e684df2b447781c544baeaf29490