京都市は、景観保全のための建物の高さや容積率の規制を、JR京都駅南側など市南部を中心に緩和する方針を明らかにした。
住宅やオフィスの供給を増やし、子育て世代の定住や企業誘致を促進する狙いがある。都市計画を改定するなどの手続きを経て、
今年度中にも実現する見通し。

 市は2007年から「新景観政策」を導入し、市街地のほぼ全域で建物の高さ上限を31メートルに設定し、地域ごとに31~10メートルの6段階に分けている。
しかし、規制の影響などで市中心部の住宅価格が高騰し、オフィスも不足。子育て世代や企業の市外流出が課題になってきた。
今回は、新景観政策の導入以来、最大規模の緩和になるという。財政難の市にとっては、固定資産税などの税収増にもつながると期待する。

 市の案では、京都駅南側の烏丸通沿いなどで事業所や研究施設を建設する場合、敷地面積が500平方メートル以上などの条件を満たせば、
高さ規制を20メートルや25メートルから31メートルに緩和。任天堂の本社などが立地する近鉄上鳥羽口駅周辺では、
緑地敷設などを条件に容積率を400%から1000%に広げる。

 マンションなどの建設を想定するのが、市営地下鉄山科駅―六地蔵駅の一帯だ。1階に店舗を設けた場合などに31メートルや20メートルの高さ規制を撤廃する。
JR向日町駅周辺では、工場や倉庫を建設する場合に31メートルの高さ規制を撤廃し、隣接する京都府向日市と連動した開発を促す。

 一方で、歴史的な建物が集中する京都市中心部では規制を維持する。門川大作市長は「保存と再生のバランスを取り、京都の潜在能力を生かしたい」と述べた。

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