サーフボードに似た板の上に立ち、パドルでこぎながら水上を進むスポーツ「スタンドアップパドルボード( SUPサップ )」の人気が年々高まっている。
各地で事故も増えており、石川県内でもSUPに乗って釣りをしていた男女が沖に流され、救助される事故が発生した。
海上保安庁は救命胴衣の着用などを呼びかけている。

 SUPは初心者でも手軽に楽しめることから子どもから高齢者まで愛好者が増えている。内灘町大根布のスポーツ用品店
「Rage On(レイジオン)」では、SUP用のボードの売り上げが5、6年前から好調だ。週末は体験スクールに1日10人ほどが参加する。

 三ツ井良店長(61)は「SUPは簡単に沖合1キロまで航行できる。初心者であれば風速3メートルでコントロールが利かなくなってしまう」と指摘する。

 海上保安庁によると、2019年に国内で発生した事故は32件、20年は66件、21年も68件発生している。このうち自力で帰れなくなる事故が9割を占める。
気象や海の状況について、準備や知識が不十分なケースが大半だった。

 七尾市能登島では今月14日、SUPで海上へ釣りに出た40歳代の男女2人が沖合の岩場に漂着し、帰れなくなった。
当時、現場周辺の風速は約10メートルで雨が降っていた。昨年9月には、福井県でSUPの女性が漁船と衝突して死亡する事故が起きている。

 事故の増加に伴い、今年3月15日には海上保安庁が中心となって、SUPの関連団体でつくるSUP安全推進プロジェクトチームが発足した。
事故を防止するため、愛好者へ向けたリーフレットなどを作製している。同庁担当者は「海に行く前に気象や海上の状況について把握しておいてほしい。
今後はインストラクターや販売店に向けても指導していく」と話した。

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