新型コロナウイルスの新規感染者が3518人と2日連続で過去最多を更新する中、医師などで構成される新型コロナウイルス感染症対策専門家会議内では「社会的な制限をかける必要がある」との意見が高まっている。
委員の成田雅医師(南部医療センター・こども医療センター)は、県が具体的な対策を講じない現状に「今こそ迅速な対応が必要だが、日本で最も感染がコントロールできていない現状を認識していない」と苦言を呈した。

複数の委員によると、本島圏域と八重山圏域に出された「コロナ感染拡大警報」のメッセージ効果が見えないことや、公共施設などを閉鎖すべきという意見が出ているという。

成田医師は県内の医療提供体制が逼迫(ひっぱく)する中、「不測の事態としての観光客のけがや病気などの受診に対応する余力はない」と指摘する。経済活動再開に関して語られる「ウィズコロナ」についても「離島は医療体制がもろく、県全体では高齢者や生活習慣病を抱えたハイリスク者が多い。抑制できていない流行がもたらすリスクを認識してほしい」と訴えた。

その上で「急速な感染拡大下での大規模イベントは中止するべきだ。実効性のある対策がないまま感染が拡大すれば医療を要する方は確実に増える」と警鐘を鳴らした。ワクチン接種の促進も必要として「未接種者や前回接種から5カ月以上たった人は追加接種が必要だ。重症化の防止のみならず感染拡大の抑止力になる」と話した。

県はこれまで、流行拡大時などの重要局面には専門家会議を開き、その意見を対処方針に反映してきた。だが、13日時点では会議を開く予定はないという。別の委員は「県は行動制限をかけないという結論ありきだが、医療者なら今こそ行動制限が必要と考えるだろう。迫り来る医療崩壊への危機感が見えず、何を考えているかも分からない」と漏らした。

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1549230.html