曳航中の「KAZU1」水深182mに落下…「知床遊覧船」事業認可取り消しへ
https://news.yahoo.co.jp/articles/8344f44e10daf4cad79f5a48b84aeb3674e6578b

24日にも引き揚げが行われる予定だった知床の観光船「KAZU1」が、曳航(えいこう)中に、今度は深さ182メートルの海底に落下しました。前回よりもさらに深い海底から一体どのように引き揚げるのか。海上保安庁などが対応に追われています。

 視界の悪い船の上を動く船員。カメラは慌ただしく作業に追われる船上を捉えました。その直前から記者は異変を感じ取っていました。

 大きなトラブルが判明したのは、正午過ぎです。原因究明は、再び遠のくのでしょうか…。

 沈没から1カ月が過ぎ、23日ようやくその船体がかすかに見えた「KAZU1」。24日午前8時から10時ごろ、曳航中に落下。事態は振り出しに戻りました。

 映像が撮られたのが、11時すぎ。23日に見えていた「KAZU1」の船体は見ることができません。船に何が起きたのでしょうか。

 カシュニの滝近くの沈没現場で海面20メートルまで引き揚げられた「KAZU1」。

 船体を傷つけないよう、非常にゆっくりと進み、斜里町沖合を目指していました。

 ウトロ漁港西11キロの地点で海上保安庁に落下の情報が入ったのが、24日10時20分です。

 海保への連絡:「KAZU1を海底に落としてしまった」

 その後、水中カメラで捜索したところ、11時42分に船体を発見。最初に発見された水深はおよそ120メートルでしたが、今回落下した場所はさらに深い、182メートルです。

 一面、霧に包まれた24日朝の斜里町。確かに、条件がいい天候ではありませんでした。

 見る限り海は荒れていませんが、地元漁師は、潮の流れの速さを感じていました。

 地元漁師:「潮がすごく速い。潮が速いから俺ら帰ってきた」

 一体なぜ、船は落下したのでしょうか。

 23日に行われた作業はこうです。まず、黄色い骨組みのようなものが海中に降ろされます。そこから海底120メートルで「スリング」と呼ばれるベルトを通し、引き揚げが行われました。

 考えられる可能性としては、ベルトが何らかの理由でちぎれ落下したパターン。

 また、ベルトが作業船から外れ、落下したパターン。

 さらに考えられる可能性として、ベルトからすり抜けて落下したパターンも考えられます。

 現場は当時、カシュニの滝方向に潮が流れ、進行方向とは逆の「逆潮」だったという証言もあります。