「キシダ買い」不発!? 岸田首相、訪問先の英で呼びかけも株価に大きな反応なし 続く日経平均株価のじり安「ビジョン見えず…アピール不可能」
2022/5/12 11:52

日経平均株価のじり安が続いている。ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギーなどの物価高が市民の生活に直撃し、世界的な株安が進行している。岸田文雄首相は先週、訪問先の英国で、「インベスト・イン・キシダ!(=岸田に投資せよ!)」と呼びかけたが、株価に大きな反応はない。岸田政権は発足から7カ月が過ぎたが、経済運営は大丈夫なのか。


岸田首相は5日、ロンドンの金融街シティーで行った演説で、自身が掲げる「新しい資本主義」を説明したうえで、「安心して日本に投資をしてほしい。インベスト・イン・キシダ!」と、対日投資を呼びかけた。

安倍晋三元首相が2013年9月、米ニューヨーク証券取引所で、「バイ・マイ・アベノミクス!(=アベノミクスは買いだ!)」と訴え、強い印象を残したことにならった形だ。

ただ、昨年10月の岸田政権発足後、日本経済の上がり目は見えない。東証1部の株式時価総額は昨年9月のピークから一時、100兆円近くが吹っ飛び、「岸田ショック」がツイッターのトレンド入りする場面もあった。

岸田首相は前出の演説で、新しい資本主義を「資本主義のバージョンアップ」と語り、官民連携の強化で、人や科学技術・イノベーション、グリーン、デジタルなどへの投資と成長を促すと説明した。日本経済再開の阻害要因ともされる「強固な水際対策」の緩和も約束した。

翌6日の日経平均株価は、前営業日比185円03銭高の2万7003円56銭で終えたが、11日は2万6213円64銭となった。ちなみに、岸田政権が発足した昨年10月4日の終値は2万8444円89銭だった。

「キシダ買い」は期待できるのか。

経済評論家の渡邉哲也氏は「岸田首相の政策には、具体的なビジョンが見えず投資のしようがない。日本最大の懸案は電力不足。原子力発電所の再稼働がままならないなか、『環境への影響が少ない火力発電の開発』といった打ち出しもなく、演説で再生可能エネルギー活用を掲げた。世界的に名前も知れていない。自国の懸案が理解・処理できていないのに、国外へのアピールは不可能だ」と語った。
https://www.zakzak.co.jp/article/20220512-D4E4P454DNMA7ETQUNVR6MJZSQ/