4日、首都キーウ近郊の街ブチャを視察し、「数千人が殺害され、手足が切除され、女性はレイプされ、子供が殺害された。これは戦争犯罪で、ジェノサイドだ」「ロシア軍と彼らに命令した人物は、ウクライナでの戦争犯罪について、直ちに裁判にかけられなければならない」と訴えたウクライナのゼレンスキー大統領。

西側諸国の多くがロシアを非難する文脈で使い、報道でも目にする機会が増えている「戦争犯罪」や「ジェノサイド」という言葉。それは何を意味していて、ロシアやプーチン大統領自身が国際法定の場で責任を追及される可能性もあるのだろうか。

5日の『ABEMA Prime』では、国際刑事司法やジェノサイド論を研究する立命館大学国際関係学部の越智萌准教授に話を聞いた。

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■そもそも「戦争犯罪」「ジェノサイド」とは?

−−−−−Q.「戦争犯罪」とは?
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A.日本の平和教育でも「戦犯」という言葉はよく使われると思うが、これは「戦争犯罪人」の略で、歴史としてはこれと同じ流れにある概念だ。国と国との戦争が始まった場合、いわゆる“国際人道法”や“武力紛争法”といった国際法のルールが適用されることになるが、その重大な違反が「戦争犯罪」だと現代では定義されている。
これらは大きく(1)集団殺害犯罪(ジェノサイド)、(2)人道に対する犯罪、(3)戦争犯罪、(4)侵略犯罪に分類されていて、日本では第2次大戦の歴史もあって4つをまとめて“戦争犯罪”と呼ぶ傾向があるが、現代ではこれらは「中核犯罪(コアクライム)」と呼んでいる。

国際法学者たちは侵攻が始まった時点で(4)の侵略犯罪についても主張をしていたが、ロシア軍による占領が行われていた段階では一般人にどういう被害があったかについての情報は入ってこなかったため、メディアではいわば狭い意味で(3)の「戦争犯罪」が報道されていたと思う。

しかしロシア軍が撤退したことで4月1日以降になるとブチャで発見された民間人の遺体の様子が公開され、(1)のジェノサイドと(2)の人道に対する犯罪についても高いレベルで疑いが生じてきたということだ。それぞれ立証すべきことが異なるものの、現時点での情報が全て正確で真実だったとすれば、4つともが行われた可能性があるということになる。

(>2以降へ)

プーチン逮捕の現実味は?ウクライナ市民が罪に問われる可能性も?「戦争犯罪」「ジェノサイド」の基礎知識
https://times.abema.tv/articles/-/10019652
2022/04/06 15:58 ABEMA Prime ABEMA TIMES