萱野稔人 @KayanoToshihito
町山智浩さん
ご質問にお答えします。私が発言したのは、ヘイトスピーチに厳しいフランスやドイツの法規制では、
菅元総理のヒトラー発言はヘイトスピーチに該当する可能性があるということです。以下、少しポイントを説明させていただければと思います。

西村 カリン (Karyn NISHIMURA) @karyn_nishi
すみませんが、フランスの場合はどの法律ですか?
Lois de 1972 interdisant l’incitation a la haine, a la violence ou a la discrimination raciale は人種や宗教の差別に限って今回の件とは異なります。
フランスでも「ヒットラーなど」の発言を受け、訴訟を起こした政治家が負けた。違法ではない。
菅さんの発言に対する「injure 侮辱」または「名誉毀損 diffamation」の理由で訴訟を起こすのは可能ですが、勝つのは確実ではありません。
フランスで2014年から大きく報道された「ヒットラー」の発言や写真加工の3件のなか、2件は訴訟を起こした側が負けました。

萱野稔人 @KayanoToshihito
西村さんも指摘しているように、フランスではマクロン大統領をヒトラーになぞらえた人が有罪判決を受けていますが、それは侮辱罪です。
またフランスで有罪判決を受ける差別事件の多くも、侮辱罪です。
ここにあるのは、憎悪を煽るような侮蔑は問題であるという、広いヘイトスピーチの考えです。

西村 カリン (Karyn NISHIMURA) @karyn_nishi
違いますね。マクロン大統領の件はむしろ異例です。
下記の事例の方が菅さんの発言に近い。
右翼政治家のル・ペン氏について「ヒットラーの政治活動と同じだ。ターゲットを変えただけ。ユダヤ人の代わりにアラブ人と黒人にした」とコメディアンが言った。
「侮辱だ」と訴えたル・ペン氏が裁判で負けた。また、左翼政治家と言われるメランション氏の写真がヒットラーの姿に加工された事例もあります。
その件は「名誉毀損だ」とメランション氏が訴えたら、裁判で負けました。
いずれの上記の事例も人種差別やヘイトの教唆を禁止する1972年の法律に基づいての判決ではありません。報道の自由を定める1881年7月29日に基づいての判決です。
その法律に基づいての判決は誰がターゲットされたかによって左右される(個人、大統領、警察、企業、など)
ちなみフランスで「ヘイトスピーチ」という用語が法律で存在しません。「ヘイト(憎悪)の教唆」という表現がありますが、
人種、宗教や国籍の理由で誰かを憎悪することを教唆することを意味する。「あなたはヒットラーだ」と言うのは「ヘイトの教唆」ではありません。
フランスの法律は非常にややこしい法律だからこそ細かい説明できないときに(テレビはまさにそうですが)例として使わない方が良いと思います。

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菅元首相の「ヒトラー」投稿は「ヘイトスピーチ」にあたるのか
https://d4p.world/news/14956/