日本を代表する夏の音楽フェス「ROCK IN JAPAN FES.」(以下、ロッキンジャパン)が今年から千葉市蘇我スポーツ公園で開催する。主催者は公園の構造を理由に挙げたが、ファンの間では別の理由も話題になった。

ロッキング・オングループは1月5日、ロッキンジャパンを今年から千葉市蘇我スポーツ公園(千葉県千葉市)で開催すると発表した。2000年以来、過去20回にわたり国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)で開催してきただけに、SNSでは「ひたちなかでのロッキンには思い入れしかない」「ロッキンはやっぱりひたちなかでなくちゃ……」など開催地の変更を惜しむ声が多く上がっている。

渋谷代表は開催地を変更する理由として公園の構造を挙げた。国営ひたち海浜公園は巨大ステージから小さなステージへ人が長い距離を移動するため密が起きやすく、万全の感染対策を行う事は困難。対して蘇我スポーツ公園は2つのステージを設けられるエリアが2つあり、移動も短時間で済む「野外フェスにとって夢のような場所」。同じロッキング・オングループ主催の「JAPAN JAM」でも使用している。

しかし音楽ファンの中には公園だけが理由ではないと考えている人も。SNSには「去年の茨城県医師会の対応を見るとそうなってしまうのは仕方ない」「結局、昨年の直前での中止によって、ひたちなかに三下り半を突き付けた感じ」といったコメントも目立った。

2021年7月2日、準備が進み、開催まで1カ月に迫った時点で茨城県医師会などが要望書を出した。要望書は、1)今後の感染拡大状況に応じて、開催の中止又は延期を検討すること、2)仮に開催する場合であっても、更なる入場制限措置等を講ずるとともに、観客の会場外での行動を含む感染防止対策に万全を期すこと、を求めた。

それまでにも収容人数を例年の半分以下にするなど多くの感染対策を講じていた渋谷代表は、条件の厳しさというより判断の基準を示さないなど要望書の曖昧(あいまい)さを指摘。確認のために協議を続けるのは困難とみて中止を決断した。

今回の発表では経緯に触れず「ここまでやっても開催は受け入れてもらえないのだ、という大きな困難を感じた」とつづった渋谷代表。それでもひたちなか市への思い入れは強く「20周年、30周年といった(節目の)年でのひたちなか開催を模索したい」としている。

https://www.itmedia.co.jp/news/spv/2201/06/news153.html