戸建てやアパートに設置したガス配管や給湯器などの費用を、月々のガス料金に数千円上乗せして徴収する慣行が、LPガス(プロパンガス)業界で続いている。
消費者がガス会社を変更しようとすると高額の違約金を求められることもある。経済産業省は、料金体系を透明化するよう業界に求めている。

 LPガスは都市ガスの配管網がない地方を中心に、国内の約4割の世帯が使っていて、ボンベなどで供給されている。

 この慣行は業界内で、戸建てでは「貸し付け配管」と呼ばれ、LPガス会社が住宅内のガス管を無償で設置する。アパートでは「無償貸与」といわれ、
各部屋の給湯器やガスコンロ、エアコンなども無償で設ける。住宅会社や不動産会社は設備費用を負担しなくて済む見返りとして、
住宅購入者や賃貸契約者にガス会社と契約を結ぶよう斡旋(あっせん)する。

 家の購入者や賃貸住宅の入居者は、ガス会社が設備を所有する場合、利用料を毎月のガス代に上乗せして払う。
料金の内訳の説明はガス会社に義務づけられておらず、水準も差がある。十分な説明を受けず割高な契約を結ぶ人が多いという。
国民生活センターに寄せられるLPガスについての苦情や相談は2020年度に約2千件あった。

 北海道生協連などによる20年秋の調査によると、学生向け賃貸住宅のLPガスでは、従量料金(月5立方メートル)は業者間で最大2・3倍(差額4533円)、
基本料金も同2・4倍(同1485円)の開きがあった。

 一方、LPガス大手によると、戸建てでは設備の利用契約期間が20年間などの長期に及ぶこともあり、「解約時の違約金は20万円程度が多い」(幹部)という。

 消費者は地域のLPガス会社と自由に契約できる仕組みだが、ガス会社はこうした慣行と違約金で顧客を囲い込んできた。
都市ガスの料金は長く国の認可が必要で、自由に価格を決められなかったため、このような慣行は広がっていない。

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https://www.asahi.com/articles/ASPDY722TPCSULFA038.html