安倍元首相「台湾有事は日米同盟の有事」対中戦略を勝手にネジ曲げ米国は大困惑
12/3(金) 14:00
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日刊ゲンダイDIGITAL

「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」ーー。安倍元首相の“前のめり”発言が物議を醸している。

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 安倍元首相は1日、台湾の民間シンクタンクが主催した講演にオンラインで参加。「新時代の日台関係」と題した基調講演で、中国の台湾への武力侵攻の可能性を念頭に冒頭のセリフを放った。この「有事発言」は国内だけでなく、複数の海外メディアにも紹介された。

 牽制された格好の中国は猛反発。中国の華春瑩外務次官補は1日夜、垂秀夫・駐中日本大使と緊急会談し、「中国内政に乱暴に関与し、台湾独立勢力を強硬に支持した」とカンカンだった。

 一方、垂大使は「政府を離れた方の発言のひとつひとつに政府として説明する立場にないこと」「台湾をめぐる状況について日本国内にこうした考え方があることは中国として理解をする必要があること」などを説明したという。

 安倍元首相の有事発言は、引き合いに出された米国にとっても、看過できるものではない。「台湾有事は、日米同盟の有事でもある」との主張は、中台関係に対する米国のスタンスと異なるからだ。

 米国は1979年に成立した台湾関係法で、台湾の自衛力強化の支援をうたう一方、台湾防衛は確約していない。台湾有事の際に具体的にどう出るかをあえて明かさない、「戦略的あいまい政策」を貫いてきた。

「米国は対応を明確にしないことで、中国との対立を避けつつ、中国による武力行使も抑止してきました。にもかかわらず、安倍さんは日米と中国の対立をあおっているのだから、無責任極まりない。そもそも、日本が台湾に加勢する法的な正当性もありません。稜線を歩くような対中、対台政策を展開してきた米国からすれば、『何勝手なことを言っているんだ』という思いでしょう」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)

 米国としても、いまさら“外交のアベ”とはハタ迷惑だろう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fef7c5918712faf1d843d8b7d9deecac894dcb9c