フィリピン外務省は今月16日、中国と領有権を争う南シナ海で、フィリピン軍の兵士が常駐する岩礁への
補給物資を載せた輸送船が、中国海警局の船に進路を妨害されたうえに放水を受けたとして、
中国側に抗議したことを明らかにしました。

フィリピン外務省の発表によりますと今月16日、軍が雇った民間の輸送船2隻が、西部のパラワン島から
西に195キロ離れた南シナ海の南沙諸島、英語名スプラトリー諸島にある岩礁に常駐する兵士のための
補給物資を運んでいたところ、3隻の中国海警局の船に進路を妨害され放水を受けました。

フィリピン外務省によりますと、輸送船は船体の一部が壊れ、元の港に引き返したということです。

けが人はいないということです。

これを受けて、フィリピン外務省は18日、声明を発表し「最も強い表現で怒りと非難を伝えた」と中国側に
抗議したことを明らかにしました。

そのうえで「中国には、この海域で自国の法を執行する権利はなく、中国海警局の船の行為は違法だ。
中国の自制心の欠如は2国間の関係を脅かすことになるだろう」と強く非難しました。

南シナ海を巡っては、ことし3月にもフィリピンの排他的経済水域に200隻を超える中国漁船が停泊し、
フィリピン政府と中国側で激しい非難の応酬が繰り広げられました。

中国外務省「フィリピンの船が中国の海域に侵入した」

これについて、中国外務省の趙立堅報道官は18日の記者会見で「フィリピンの2隻の船が、中国側の同意を得ずに
中国の『南沙諸島』の海域に侵入したため、中国海警局の船が、主権と海洋秩序を守るために法に基づいて
公務を執行した」と主張し、対応を正当化しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211118/k10013353451000.html