音楽用電子機器を販売するズーム(東京都千代田区)は9月17日、米Zoom Video Communications(ZVC)のWeb会議システム「Zoom」が同社の登録商標を侵害しているとして、日本でZoomを提供しているNEC子会社のNECネッツエスアイに対して侵害行為の差し止めを求める訴訟を、東京地方裁判所に提起したと発表した。
損害賠償は請求せず「和解金などでの解決を排除する姿勢」を見せている。

ズーム社は、ZVCがZoomを提供する際に同社の「登録商標と極めて類似した標章を使用」していると主張。
2019年10月ごろから電話・メール窓口にWeb会議システムについての問い合わせが殺到するようになった他、20年6月のZVC決算発表の影響でズーム社の株価が2日連続でストップ高を記録し、その後急落したという。
「業務上の支障にとどまらず、第三者の投資家に損害を与える結果となり、現在も日々、支障がある」と説明した。

20年以降、ZVC日本法人に連絡して解決策を探ったが「誠意ある回答、対応がなかった」として同社の「ブランドを支持するユーザー及び株式を購入した株主に間違ったメッセージを発する結果になると懸念」し、提訴に踏み切った。

今回の訴訟の目的は「登録商標が法的に保護されるべき知的財産であることの確認」だとして、和解金などでの解決を排除するため、損害賠償を請求していない。

被告をZVC日本法人ではなくNECネッツエスアイにした理由として、NECネッツエスアイがZVCの日本での販売代理店第1号である他、ZVC日本法人の事業内容が明らかでないことを挙げている。

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