半導体メーカー、ロームの松本功社長は、ウエハーに回路を形成する前工程の半導体生産について、国内の割高な再生可能エネルギーコストや地政学リスクを考慮すると、海外移転も「検討する余地がある」との考えを示した。

松本社長は25日のインタビューで、日本は再生エネコストが「非常に高い」と指摘。もともと地震国で、豪雨などの自然災害も頻発しており、「生産が国内で増強できないという状況に陥るのではないかと思っている」と述べた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ipDbxUXj2FeM/v0/800x-1.jpg

政府が2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロとする方針を掲げる中、国内の製造業は再生エネによる電力調達などを進めている。ロームは30年度のCO2排出量を18年度比で30%削減し、50年度には再生エネ導入比率を100%とする目標を掲げる。

トヨタ自動車の豊田章男社長も3月の会見で、火力発電に大きく依存する日本の状況を受け、「CO2排出の少ないエネルギーで作れる国にシフトしていこうという動きが出てくる可能性がある」と述べていた。

ロームでは現在、前工程の半導体を国内拠点で生産している。工場は原則24時間稼働で、再生エネコストの安い電力の安定的な確保が利益率なども左右する。ブルームバーグNEFのリポートによると、例えば日本の太陽光発電コストはドイツや米国、中国より2−4倍高い。

ただ、松本社長は、海外では国や地域によりインフラの不備などで電力供給が不安定になるケースがあるとも指摘。新型コロナウイルスの感染急拡大や異常気象による影響もあり、拠点の多様化による生産体制拡充の重要性も訴えた。

(後略)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-08-26/QYE4SMT0AFBB01