世界が異常気象に襲われている。欧州では豪雨による洪水で犠牲者が出た一方、熱波に起因する山火事も
発生した。地球温暖化の影響とみられ、国連の報告書は気候変動が自然災害をもたらし、生態系に変化を
及ぼすと指摘。「前例のない災害」(米専門家)をグテレス国連事務総長は「人類への警鐘だ」と訴え、
早急な対応を呼び掛ける。

日本でも台風の大型化や豪雨など温暖化との関連が指摘される災害が頻発し、最高気温が35度以上の
猛暑日が相次ぐ。温室効果ガスを多く排出すれば世界の平均気温のさらなる上昇は避けられず、
温暖化対策は国際社会の喫緊の課題だ。

ドイツは7月中旬、集中豪雨に見舞われ、複数の地域で洪水が発生。濁流が家々をのみ込み、
道路や橋が損壊した。復旧には260億ユーロ(約3兆3590億円)以上を要すると見込まれ、
死者は隣国ベルギーと合わせて200人を超えた。

一方、同じ欧州でもギリシャは熱波に伴う山火事に苦慮している。欧州メディアによると「過去30年で最悪の
熱波」が起き、すさまじい熱のため消防の放水は火に届く前に蒸発してしまったという。ミツォタキス首相は
「火災は間違いなく気候変動に関連している」と指摘した。

イタリア南部シチリア島では11日、48・8度を観測し、地元メディアは欧州での観測史上最高気温を
更新したと伝えた。

米西部カリフォルニア州デスバレーでは7月9日、54・4度を記録。州北部で同13日に起きた山火事で
東京都に匹敵する約2000平方キロを焼失し、米メディアは「州史上2番目の規模」と報じた。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は今月9日、産業革命前と比べた世界の平均気温の
上昇幅が2040年までに1・5度を超える可能性が高いとする報告書を公表し、早期の対策を促した。

米ペンシルベニア州立大のマン教授(大気科学)は英紙に「今夏、前例のない災害をリアルタイムで
目の当たりにしている」と述べ、極端な気象現象による影響が甚大だと指摘した。(共同)
https://www.nikkansports.com/general/news/202108140000145.html