では先進国であれば「低所得層・貧困層のワクチン接種率が低い」という現状が関係ないのかと言えば、まったくそうではない。

先進国でも、もちろんワクチン接種を全員が済ませているわけではないのだが、実はここでも興味深い事実が垣間見えるようになりつつある。アメリカでも「貧困層ほどワクチン接種率が低い」が明らかになりつつある。

ワクチン接種は無料なのに社会の底辺になればなるほど打たない
フォーブズ紙では『米ワクチン接種、貧困層多い州ほど低迷 普及に経済格差の壁』という記事でそれを報じている。

この報道によると、『住民の貧困率が高かったり世帯所得が低い州ほど、新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種率も低い傾向にある』ということで、その原因を「政治信条」と「経済格差の問題」であると書いている。

接種率が低い7州は貧困率の上位10州に含まれ、アメリカでワクチン接種率が最も低いミシシッピ州は、アメリカで最も貧困率が高い州でもあった。逆に、ワクチン接種率が最も高い上位10州は、いずれもおおむね世帯所得が高い州であったという。

所得が低い州=ワクチン接種が低い
貧困率の高い世帯=ワクチン接種が低い

フォーブズは批判を恐れて踏み込んだ事情を書かず、「学歴、支持政党、性別はいずれも関係している」とだけ述べているのだが、恐らく「低学歴・共和党・女性」の接種率が低いと言いたいのではないか。