近年、「個人の成功は自らの努力によるものなのか、それとも親や環境に依存しているのか」という疑問に関する議論が数多く行われています。
そんな中、バル=イラン大学とミシガン州立大学の合同研究チームがハイエナの社会構造を分析して「子どもの社会的地位は親の社会的地位に依存する」とする研究結果を報告しています。

Rank-dependent social inheritance determines social network structure in spotted hyenas | Science
https://science.sciencemag.org/content/373/6552/348

Mom’s powerful friends keep high-ranking hyenas on top | Science | AAAS
https://www.sciencemag.org/news/2021/07/mom-s-powerful-friends-keep-high-ranking-hyenas-top

「個人の成功には親の力が大きく関わる」という言説に関しては、さまざまな議論が行われおり、
2018年には「裕福な家庭に産まれた才能のない子ども」が「貧乏な家庭に産まれた才能のある子ども」よりも高い割合で大学を卒業しているということが判明。
成功には生まれ持った才能よりも環境の方が強く影響することが示されていました。

研究チームは、このような親の社会的地位による子どもへの影響が人間以外の社会的な動物でも起こるのかを確かめるべく、
ケニアのマサイマラ国立保護区でハイエナの血縁関係や群れの構成を20年以上にわたって追跡したデータを用いて、
集団内における母親の地位と子どもの地位の関係性について検証しました。

ハイエナは複数の家族が集まって群れを構成し、メスがリーダーを務めることが知られています。
今回の研究の結果、群れの中でも高い地位にいたハイエナの子どもの場合、母親が所属していた群れと同じ群れに所属し続けた方が長生きすることが判明。
一方で、群れの中で低い地位にいたハイエナの子どもの場合は、母親とは異なる群れに所属した方が長生きすることが判明しました。

勝ち組の子どもは勝ち組になりやすいことがハイエナの研究から示される
https://gigazine.net/news/20210719-hyena-social-rank/